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中国で自動運転バスに乗って判明! AI覇権争いでグーグルは負ける

アメリカだけに目を奪われると見誤る
田中 道昭 プロフィール

昨年までの筆者の認識では、自動運転競争をリードしていたのはグーグルで、追随するのはGMとバイドゥだった。

グーグルは系列の自動運転開発会社「ウェイモ」が、自動運転タクシーの商業化を始めているが運用はまだ限定的にとどまっている。またGMやフォード、ダイムラー、ボッシュが自動運転タクシーの商業化を目指しているが、運用が始まるのは今年中とのこと。

今回、自動運転バスの社会実装を実現したバイドゥは、一歩抜け出した感がある。AIの学習に欠かせないビッグデータの収集において、社会実装は早ければ早いほど一日の長があるからだ。日々、運行される自動運転バスから収集されるビッグデータは、自動運転プラットフォーム構想の「アポロ計画」を大きく後押しすることは間違いないだろう。社会実装が遅れている米企業に比べて、格段に優位に立ったといえる。

バイドゥの自動運転バスの車内。筆者撮影

国家ぐるみで目指す「世界の最先端」

自動運転の分野においては、自動運転バスの方が、一定区間を走らせることなどで実用化させやすいとは以前から指摘されてきた。それでもバイドゥのここまでの進化を見せつけられると、同社の戦略性に脅威を感じざるを得なかった。それはグーグルのように自動運転タクシーから商業化を始めたならば、量産化・収益化にはかなりの時間を要するであろうからだ。私たちは、自動車メーカーではない、中国のテクノロジー企業が自動運転車の量産化をすでに昨年7月からスタートさせていることに注目する必要がある。

そもそもバイドゥはグーグルのいない中国市場で独り勝ちしたネット検索大手で、技術的にグーグルの下に見られることが多かった。またバイドゥは、中国国内でもアリババ、テンセントに大きく溝を開けられ、現在も時価総額も2社の6分の1ほど。有力メガテック企業の後塵を拝していたバイドゥが起死回生を目指して、地道に取り組んできたのがAI事業だった。

 

17年1月、バイドゥは培ってきたAI技術の戦略的な集大成として発表したのが、音声AIアシスタント「デュアーOS」、そして自動運転プラットフォーム「アポロ」である。「アポロ」とはもちろん、アメリカの有人宇宙飛行計画「アポロ」を強く意識して名付けられた。その計画には国内外の多様なパートナー1700社が参画しているとみられ、ダイムラーやフォードなどの完成車メーカー、ボッシュやコンチネンタルなどのメガサプライヤー、AI用半導体メーカーのエヌビディアやインテルなども含まれている。

中国は次世代人工知能の開放・革新プラットフォーム(国家新一代人工智能解放創新平台)の国家プロジェクトを進めており、「2030年には人工知能の分野で中国が世界の最先端になる」と宣言している。米中の摩擦を生んだ国家威信プロジェクトの中で、その自動運転事業を委託されたのが、バイドゥだったのだ。

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