大阪ダブル選、維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」

今後も政争が繰り返されるのか?
鈴木 哲夫 プロフィール

結局、無意味な選挙だった?

しかし再三述べてきた通り、今回の選挙で真に大阪の未来を左右するのは、実は首長選挙ではなく、都構想に向けた住民投票の成否を握る府議会・市議会選挙だった。

今回、維新は両議会選挙で過半数の候補者を立てたものの、準備不足が否めなかった。一人区が多い府議選については、一騎打ちを得意とする維新が有利に戦ったが、中選挙区制の市議選では苦戦。選挙戦でも、市長選に出馬した松井氏のみならず、府知事選に出るはずの吉村氏まで、ほとんど大阪市内だけで活動していたほどだ。

最終的に、維新は大阪府議会では大きく議席を伸ばしたものの、大阪市議会で過半数を確保できなかった。つまり、都構想実現のためには、今後再び他党の協力を取り付けなければならないということだ。

そのとき自民党や共産党が交渉先として浮上することは、まずあり得ない。結局のところ、また公明党との協力を模索することになるだろう。そうだとすれば、維新が「公明党の協力を得ずに都構想への道を開く」ことを目指して行ったはずの今回の「ダブル・クロス選挙」が、いったい何のためのものだったのかわからなくなってしまう。

 

橋下氏は、今年1月にテレビ番組に出演した際、「(次の衆議院総選挙で)公明党の選挙区に(維新から)2人が出て倒しに行く」との観測を披露している。しかし、再び維新と公明の政争が繰り返されるとすれば、振り回されるのは大阪の有権者であることを指摘しておきたい。

一方で、最後に少し私見を述べれば、都構想や道州制をはじめ、維新が掲げるような地方自治改革や見直しの動きそのものは、令和の時代に日本という国の構造が大きく変わる中で、これから全国的にも議論する必要が出てくるだろう。

東京のマスコミには、大阪都構想を「ローカルな話題にすぎない」と過小評価する向きもあるが、実は大阪のおかれた状況は、全国の他の自治体にとってもひとつの先例になる可能性が十分にある。今回の選挙を「コップの中の争い」と看過するのは早計である。