大阪ダブル選、維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」

今後も政争が繰り返されるのか?
鈴木 哲夫 プロフィール

そこで維新は、公明党に「次の総選挙では対抗馬を立てないから、その代わりに大阪都構想の実現に協力してくれないか」と持ちかけた。維新に加えて公明党が都構想賛成に回れば、府議会・市議会で過半数を確保し、住民投票を再び実施できるようになる。公明党はこの申し出をいったん飲み、両者は2019年末までに住民投票を行う方針で、昨年春には合意文書までまとめていた。

とはいえ、次回の衆院選の際に維新の党勢がどうなっているかなど、本質的には予測がつかない。「選挙をバーターの材料にするのは、リスクが大きい」との声も公明党内部には根強かった。また、そもそも公明党が、それまで都構想に党として強硬に反対していたことも、一層の混乱を招くことになった。

 

結局、公明党内部はまとまり切らず、住民投票実施の期日確定を迫る維新に対して、態度を曖昧にし続けた。そして昨年12月、煮え切らない公明党に、ついに維新側が激怒。松井氏が記者会見を開いて合意文書を公開し、「約束が違う」とぶちまける展開となった。

つまり、今回のダブル選挙が勃発した背後には、都構想と衆院の議席をバーターするという、維新・公明の間の政局があったわけだ。

なぜ松井・吉村は勝ったのか

このようなゴタゴタを目の当たりにしてきた大阪の有権者には、3月に松井・吉村両氏が辞任した当初、「いったい何のためのクロス選なのか?」と疑問を抱く人も多かった。選挙戦の序盤で行われた世論調査で、自民党の大阪市長候補・柳本顕氏がリードを見せていたのも、そうした疑念を反映してのことだっただろう。

しかし、投開票日が近づくにつれて維新が徐々に盛り返し、結果としてその支持の底堅さを見せつける展開となった。維新の主な勝因は、やはり依然として、彼らが若年層と無党派層からの根強い人気を確保していたことだと考えられる。

あくまで結果論ではあるが、この数年間で景気が上向いたことの恩恵は大阪にも及んでいる。加えて子育て支援の拡充、また公務員の人員削減などの行政改革といったわかりやすい政策も、2008年の橋下徹氏の大阪府知事当選以来、維新系勢力が11年にわたって大阪政治を担う中で、多少なりとも進みつつあるといえる。

「維新のおかげで、なんとなくよくなっている」という感覚が、その本当の理由はさておき、大阪の若年層・無党派層の間では広がっているのである。

選挙のテクニックという面から言っても、結果的には府知事と市長の辞職・再出馬が効いたといえる。「都構想実現をかけた戦い」であることを両者が首を賭けてアピールし、イシューを絞ったことで、維新が得意とする「改革派 vs. 抵抗勢力」の構図を作り出し、戦いを有利に運ぶことができたからだ。