日本の上空を覆う米軍の巨大な壁…「横田空域問題」を知っていますか

世界的にみても異例です
角川新書編集部

ドイツ、イタリアと比べても…

――飛行訓練でもしものことがあったらどうするのでしょうか。

「実際に事故も起きていますが、日本の警察はアメリカ軍側の同意がなければ捜査ができません。事故を起こしたパイロットなどの事情聴取もできません。地位協定の合意議事録で取り決められているからです。非常に不平等です。

最近は低空飛行訓練もエスカレートしています。横田空域以外でも自由に飛んでいます。全国のダムや発電所を通過ポイントにして山間を縫うように飛ぶなどの高度な技術を必要とする訓練もしています。アメリカ軍は日本の空をフル活用しているといえます。

 

かつて日本政府は今とは正反対の見解を示していました。1960年には、米軍の施設・区域内でも原則として日本の法令が適用される(施設・区域外でも適用されることが当然の大前提)と、当時の外務省の高官が国会で答弁しています。

ところが1973年になると、180度変わってしまいます。米軍に対して国内法令は原則適用されない、という国会答弁が外務省の高官によってなされました。今の日本政府は、この見解を踏襲しています。

同じ第二次世界大戦での敗戦国であるドイツやイタリアでは、米軍基地はありますが、国内法を原則として適用し、しっかりと規制をかけていることが明らかになっています。沖縄県は2018年2月、アメリカと地位協定を結んでいるドイツとイタリアに調査団を派遣して、地位協定の実態を調査し、『他国地位協定調査中間報告書』を公表しました。

その報告書によれば、たとえばドイツの空には横田空域のような空域は存在せず、ドイツ航空管制という組織が、ドイツ軍基地と米軍基地での離着陸に関する航空管制を除いて、全面的に航空管制を担っています。日本とは対極にあります。

【PHOTO】gettyimages

日本の場合、日米安保条約や日米地位協定をどうするかについては、さまざまな考えがあると思いますし、すぐに変えるのはむずかしいでしょう。

ただ、日米合同委員会が密室協議によって憲法を侵食している実態や、そこで合意された密約が私たちの主権を侵害していることを知り、その上で、日米安保・地位協定をどうするのか、この国をどういう方向に進ませるのかを考えてほしいと思います」