政府が定めた「就活ルール」就職のプロたちはこう見ている

賛否いろいろあるけれど
島影 真奈美 プロフィール

インターンシップは企業の負担が大きい

インターンシップの定義は厳密には定められていないが、一般的には

(1)採用直結型……インターンシップへの参加が採用選考プロセスの一部になっている
(2)体験型……インターンシップへの参加と採用選考プロセスは別もの

という2つに大別されるという。

2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査によると、「次年度重点を置く採用方法」として「体験型インターンシップの受け入れ」と答えた企業は全体の41.5%を占めたが、「採用直結型インターンシップの受け入れ」は18.7%に過ぎない。

「採用直結型インターンシップの場合、一緒に働くことで面接のように短時間ではわからない適性を判断できるメリットがあると言われます。しかし、その一方で受け入れるための労力が相当かかるため、大人数には対応できないというデメリットもあります。

例えば、通常の面接であれば、10人面接官がいれば、1日で100人を選考することも可能です。しかし、採用直結型インターンシップとなると、10人の社員で100人を選考するのは難しい。100人をインターンシップで選考するには少なくとも同数程度の社員を用意する必要が生じるかもしれません。

だからこそ、採用直結型の実施割合は2割未満にとどまっている。つまり、現時点ではまだ実施割合が少ないため、制限されたことによる影響も限定的だと考えられます」(栗田卓也さん/マイナビ・リサーチ&マーケテイング部部長)

ちなみに、インターシップ全体を見ると、学生が参加するピークは大学3年次の夏休みと冬休みの2回。夏休みには数日間に渡る長期プログラム、冬休みは1~2日の短期プログラムに参加するケースが多いという。

「3年生に比べるとまだ数は少ないですが、ここ数年は1~2年生の時点からインターンシップに参加する学生も増えつつあります。

ただ、人気のある企業のインターンシップは狭き門です。企業側も受け入れ可能人数に限りがあるため、採用試験よりも高い倍率を突破しなくてはならないケースも珍しくありません」(栗田卓也さん/マイナビ・リサーチ&マーケテイング部部長)

 

学生に自己PR動画を作成させる企業も!

一見すると、似たようなスケジュールで動いていたとしても、就職活動のスタイルは確実に変わりつつある。最近のトレンドとしては「ITを駆使した遠隔地での採用活動」(高橋誠人さん/就職情報サイト「マイナビ」編集長)が挙げられるという。

例えば、面接とエントリーシートの中間のような位置づけにあたるのが「動画による選考」。志望者に30秒間程度の自己PR動画をアップロードしてもらい、その動画の内容いかんで面接に呼ぶかどうかを決定する。

また、人事担当者がウェブカメラに向かってしゃべるウェブセミナーも人気があるという。学生はセミナーを視聴しながらチャット機能で質問を投げかけることもできるそうだ。

「就職ガイダンスでも、会社セミナーでも最後に必ず『質問はありませんか?』とたずねますが、実際に質問をする学生はごくわずかです。

ところがウェブセミナーではたくさんの質問が飛び交う。匿名なら、心置きなく本当に知りたいことを質問できるというのも、“現在”を感じさせる行動様式だと思います」(高橋誠人さん/就職情報サイト「マイナビ」編集長)

採用する側としては、こうしたITを活用した情報発信をいとわず、対応し続けられるかが問われるという。

親も就職活動をサポートしてほしい

「親世代の方々もぜひ、就職サイトを子どもたちと一緒に見てみて欲しいですね。検索をしてみたとき、かつての自分が受けたいと考えていた企業がヒットするかどうか。採用に力を入れているのはどのような業界かといったことを少し調べてみるだけでも、就職活動の現況を知るヒントになります。

また、『働くとは何か』を子どもに伝えることも大切です。月額20~30万円を稼ぐとはどういうことか。就職活動は実は人生におけるごく一部のできごとに過ぎず、さまざまな生き方があり、いろいろな選択肢がある。

親のネットワークを使ってキャリアの選択肢を示し、子どもの可能性を広げることも、親ができる重要なサポートのひとつのように思います」(栗田卓也さん/マイナビ・リサーチ&マーケテイング部部長)

新たな就職活動の潮流を知ることは、時代の空気を捉え直す格好の機会なのである。旧態依然とした価値観を手放し、本当の意味での「働く意味」を振り返ることにもつながる。