政府が定めた「就活ルール」就職のプロたちはこう見ている

賛否いろいろあるけれど
島影 真奈美 プロフィール

就職情報大手に聞いた“影響”は?

筆者は現場のリアルを確認しようと、就職情報大手マイナビを取材した。

マイナビのリサーチ&マーケテイング部長の栗田卓也さんは、“政府就活ルール”には賛成。次のように解説する。

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「もし、“就活ルール”が完全に撤廃されるとなると、就職活動あるいは採用活動を進める上での時期の目安がわからなくなります。実は、東日本大震災のときがまさに、こうした状況でした。

あの時期、目安の見当がつかなくなった学生はどうしたか。いったい、いつから選考が始まるのかとインターネットで調べまくって、それだけで消耗してしまったのです。

時期の目安があり、しかもそれが毎年変わらないという流れがあれば、さほど混乱しなくても済む。本来であれば、企業研究や働くことの意味を考えるのに費やすべき時間を、情報戦で疲労困憊してしまうといった事態に陥るのを避けられるわけです」(栗田卓也さん/マイナビ・リサーチ&マーケテイング部部長)

 

そもそも、政府就活ルールの「広報活動3月開始・選考活動6月開始」というスケジュールは2017年入社組から2020年入社組まですでに4年間続いている。企業にとっても学生にとっても、また、就職支援をする大学にとっても“現状維持”してくれたほうが好都合なのは想像に難くない。

では、政府が新たに指針を発表し、そのスケジュールが経団連による就活ルールから変わっていないとすれば、就職活動の早期化・長期化は杞憂に終わるのだろうか? 就職情報サイト「マイナビ」編集長・高橋誠人さんは懐疑的。こう解説する。

「今回の経団連による“就活ルール廃止”自体が、就職活動のスケジュールに影響を及ぼすとは考えにくいです。ただ、人手不足による企業間競争が激しくなる中、人材確保のために少しでも早く動き出したいと考える企業が増える可能性はあると思います。

例えば、3年生の秋口に行われる就職ガイダンスで『知っている企業名を書き出してください』というと、たいていの学生さんは10数社しか知りません。企業からすると、まずは採用以前に、自社の存在を知ってもらう必要がある。

そこでインターンシップなどを通じて、企業認知や相互理解の機会を増やすことを試みるわけですが、こうした取り組みを行う時期が早まることは十分考えられます」(高橋誠人さん/就職情報サイト「マイナビ」編集長)

採用直結型インターンシップはなぜ制限されるの?

政府就活ルールでもう一つ気になるのは、・選考解禁前の採用直結型インターンシップ(就業体験)は禁止要請
である。

近年、就職活動においてインターンシップが重要な役割を果たしているというのは周知の事実だ。そんな折、「採用直結型インターンシップ」を制限するのは時代に逆行するのではないのだろうか。

「制限されるのはあくまでも『採用直結型』であって、企業認知や仕事への理解を深めるための体験型インターンシップについては制限の対象ではありません」と、前述の栗田氏は指摘する。