離婚調停によって夫婦関係が悪化

結果として、別居直後よりも調停を経て夫婦関係はより悪化した。言いたくないこと、言ってはいけないことをぶちまけ合い、数回の調停の終盤には、顔も見たくない二度と関わりたくない相手になり、離婚に迷いはなくなっていた。

「私が法学部出身だったこともあり、すぐに凄腕の弁護士さんが見つかったのもよくなかったのかな。はじめにカウンセラーのような存在に相談していたら、もしかしたら離婚は避けられたのかもしれません」
 
財産分与、子どもの親権、養育費の支払いーー弁護士主導で、とんとん拍子に話は進んだ。子どもと父親との面会交流については、これも弁護士の提案そのまま「月1〜4回」となった。

「面会交流についてはまったく知識がなかったので、そのくらいが普通ならそれでいいです、みたいな感じで深く考えず決めました。離婚したら相手とは縁が切れるものと思い込んでいたので、面会交流のために離婚後にやりとりをすることを想像すらしていませんでした。」

だから、離婚をしたのに元夫から「子どもに会わせてほしい」と連絡が来たときは驚愕した。メールを見た途端、離婚前の攻撃的なメールが思い起こされ、メールがくるたびに体が震えた。

「約束なので仕方なく会わせたのですが、いやでいやでしょうがなかった。その後も、運動会や野球の試合などに行きたいと連絡が来るたび、家族でもないのに馴れ馴れしいと腹が立って、わざと冷たく敬語で返信したりしていました」

当時、息子はまだ小学生だったので、一人で待ち合わせはさせられない。面会の日には、元夫が家まで送り迎えにやってくる。姿を見たくなくて、ピンポンとチャイムが鳴ると、わざと耳を塞いでソファの後ろに隠れたりもした。息子は、そうっと出かけ、そうっと帰ってきた。

「『子どもが会いたいって言えばいいですけど、そちらからは会いたいって言わないでください』と言ったこともあります」

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子どもに「会いたい」と言わせなかった

子どもは親の気持ちに敏感だ。母親に「会いたいの?」と聞かれて、本当は会いたくても親の言外の気持ちを察して「会いたくない」と言ってしまうことはいくらでもある。聡子さんの息子もそうだった。

「離婚してから少しでも前を向きたくて、自分の経験が生かしたいと思い、『離婚カウンセラー』の資格を取りました。あるときその活動のなかで、面会交流の相談を受けて、ハッと気づいたんです。私はこの問題を乗り越えられていない、と」

いつしか家庭のなかでは、父親の話題はタブーになっていた。テレビで離婚の話題が出ると空気が重くなり、2人でじーっと黙り込んだりしていた。