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日産自動車の「社外取締役」「指名委員会」に期待できない理由

建て前だけのガバナンス

ゴーンのような権力者を二度と作りたくない意思はわかる。だが、外部の人間を登用したところで、経営やものづくりの何がわかるのか。本末転倒なガバナンス重視の風潮について発売中の『週刊現代』が特集している。

榊原定征が本誌に語る

「会長職の廃止は、執行役と取締役、言ってみれば泥棒と警察の役割をしっかりと分けていこうという考えです。そもそも日産にはCEO職があるわけですから、それ以上に権力が集まるポジションは必要ない、と」

千代田区の閑静な住宅街、番町で一際目を引く立派なマンション。レクサスやロールス・ロイスといった高級送迎車が行き交うエントランスで、本誌にこう語ったのは経団連前会長の榊原定征氏だ。

日産・ガバナンス改善特別委員会共同委員長―。数々の要職を歴任してきた榊原氏は、「ゴーン・ショック」の尾を引く日産を立て直す第三者委員会の長として名を連ねる。

榊原氏は今後の方針について、こう続けた。

「日本でも、指名委員会等設置会社として、社外取締役が全取締役の過半数を占めている会社が増えてきている。私としてはこの形態のほうが、ガバナンスの利いた会社になると考えています。

日産でいえば豊田(正和)さんと井原(慶子)さん、そして(ジャンバプティステ・)ドゥザンさんの3人が日産の社外取締役で、今回の委員会にも入っていただきました。

この3人には、引き続き(社外取締役を)やってもらうことになるかもしれない。もちろん、最終的には日産が決めることですけれどもね」

榊原氏が名を挙げた3名はそれぞれ、井原氏が元カーレーサー、豊田氏は元経済産業省、ドゥザン氏はルノー出身という来歴だ。3名とも、カルロス・ゴーン氏在籍時からの社外取締役である。

 

3月27日にガバナンス委員会が公表した報告書は、日産と筆頭株主のルノーのトップを兼任、独裁体制を敷いたゴーン氏を糾弾し、大小38の提言を挙げた。この提言の重要なポイントは、次の3点に要約される。

①会長職の廃止
②指名委員会等設置会社への移行
③取締役会の過半数を社外から選出する

海外の住宅購入費用や個人的なデリバティブ取引の損失付け替えなど、裁判の結果はともかく、ゴーン氏が会社の資金を私物化していたのは間違いない。その原因は、周囲をイエスマンで固め、絶対的権力を作り上げたことにある。

そのため、ゴーン氏に代わる会長は決めず、指名委員会を設置し、経営トップを改めて選出することで、日産のガバナンス体制を整えるというのが趣旨だ。

指名委員会は、日本では'03年に導入された比較的新しい制度だ。取締役3人以上によって構成され、その過半数が社外であり、委員長も社外取締役が務めることが原則だ。

狙いは会社の執行役(CEOやCFO)を監視し、適切な後継者を選ぶことにある。委員会での決議事項は、取締役会を飛び越して株主総会にかけることもできる、非常に強力なセクションだ。