メーカー勤務サラリーマンが、医学部再受験で開業医まで上り詰めた話

こんな生き方もあるんです
原田 広幸 プロフィール

サラリーマンを経験しているからこそ

現在、北岡院長は、循環器を専門としながら、内科・心療内科のクリニック(北岡クリニック)を開業し、休日の診療や、往診にも対応する地域医療に従事している。患者一人あたりの診察時間も、患者との面談を大切にしているため、非常に長い。

自らが会社員を経験していることもあり、都市部のビジネスパーソンの陥りやすい心身の悩みにも目配りを欠かさない。丁寧な診療と患者へのアドバイスが評判の医師である。

 

米国では、文学や歴史など、リベラルアーツを学んだ学生が、「メディカル・スクール」と言われる大学院に進学してから医学を学んで医師を目指す。日本においても、「メディカル・スクール」構想が何度と無く提起されているが、実現される見通しはない。

「ロー・スクール(法科大学院)」の前例があり、それを大きな失敗例とする意見が、メディカル・スクール構想の推進を阻む理由の一つになっているようだ。

現在の医学部入試制度、医学部の教育研修制度、そして医療現場のニーズからは、若く、体力がある、できれば男性の受験生が、医師養成の対象者として有利にならざるを得ない構造になっている。

2018年の不正入試事件を受けて、入試の改革が行われても、医療界の中に、受験生の多様性、ひいては多様な医師の人材育成を阻む意識が残されていては、改革も絵に描いた餅に終わってしまうだろう。

少なくとも10年、20年前までは、「暗記主義」「受験戦争」と揶揄された受験制度の中でも、まともな医師を育成する仕組みが維持されていた。私は、面接や小論文などで「志望理由」や「なりたい医師像」などを聞かなくても、医師のクオリティーは変わらないと感じる。

むしろ、学力一本槍で選別する昔の国公立大学のやり方のほうが、よかったのではないか?北岡医師にインタビューしているなかで、そんな感想すら浮かんできた。

(以前も再受験生の体験談を紹介したので、そちらも参考にしてほしい:「30代で医学部に入った、とある私大文系卒サラリーマンの夢」参照)