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ヨーロッパ中に広がる「子どもたちのデモ」礼賛に覚える違和感

メルケル首相までが応援する異常事態

「惑星を救うため」の抗議デモ

グレタ・トゥンベルク(Greta Thunberg)という人物名をヴィキペディアで検索すると、アラビア語、ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、インドネシア語、ポルトガル語、中国語、ヒンディー語、ロシア語で、長い解説が出てくるが、日本語はまだない。

グレタというのは現在9年生(日本の中3)のスウェーデン人の女の子で、地球の温暖化を食い止めるための活動家ということになっている。

ヨーロッパで9年生といえば、学校にもお化粧バッチリで通う大人っぽい女の子が多い中、グレタはおさげ頭で、化粧っ気もなく子供っぽい。そして、過激な内容のスピーチを無表情でする。この頃、マスコミで姿を見ない日はないほどの有名人だ。

去年、米『Time』誌は、世界で一番影響力の強いティーンエイジャー25人のリストにグレタを加えた。先日、3月30日には、本来なら優秀な映画やテレビ作品、あるいは、映画やテレビで活躍した人に与えられるドイツの『ゴールデンカメラ賞』の特別賞を受賞し、ベルリンに集合したスターたちや来賓から満場の喝采を受けた。

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彼女が、なぜこれほど有名になったかというと、2018年の8月から、毎週金曜日に学校へ行かず町に繰り出し、「惑星を救うため」の抗議デモをしているからだ(どの政治家が言い始めたのか、最近は「地球」ではなく「惑星」)。

今ではその運動に“Fridays for future”という名が付き、あっという間に国境を越え、どんどん拡大中。デモの目的は、「惑星」の危機的状態を世の中の人々に知らしめ、責任者である大人たちに早急に温暖化対策を実行させること。たとえば、CO2の巨大な排出源である石炭火力発電所の停止だ。

 

ドイツの子供たちも去年の11月からそれに加わり、2月半ばのデモ参加者は3万人だったが、それがすでに何倍にも膨らんでいる。大学生はともかくとして、ギムナジウム(小学5年から高校生まで)の生徒の多くが、金曜日は学校をサボってデモをしているわけで、本来なら、国民の三大義務である「教育の義務」にも抵触する。

彼らの主張には、幾つかの特徴がある。まず、将来をものすごく悲観的に描いていること。「私たちに残された時間はあと10年」とか、「2100年までに南の島は沈み、沿岸の都市は消えてしまう」とか、この世の終わりのようだ。

レポーターが、学校をサボっていることについて訊いたら、「数学よりもこっちの方が大切だ。勉強しても地球がなくなっていたらどうしようもないじゃないか」と言い切る子までいた。

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