平成という時代に、日本で民主主義が機能しなかった理由

橋爪大三郎の「社会学の窓から」⑩
橋爪 大三郎 プロフィール

政府と有権者がグルになった日本

2004(平成16)年の橋本さんの診断は、日本の会社は、現場がやせ細っている、だった。現場がやせ細っていては、利益があがらない。それなら現場を豊かにし、利益があがるようにするしかない。でも上司は、そうは考えない。

上司のピラミッドはその会社の、過去の吹きだまりだ。自分たちが間違っていました、時代から遅れていました、みたいに認めるわけがない。その代わりに、そうだ、新しいことをやろう、と思いつく。実は新しくも何ともないことなのに、無駄に資源や人員をつぎこんでしまう。

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平成は、冷戦の終結とともにスタートした。バブルが弾けて、日本経済はおかしくなった。利益があがらないし、会社も大きくならない。そこで会社が考えたのは、上司のピラミッド(本社)を守ることだった。

それに向け小泉改革は、派遣や非正規雇用も何でもありにした。結婚できない若者が増えた。消費は落ち込み、会社は自分の首を絞めることになった。

 

政府はこれが、構造的な問題でなく、単に「景気が悪い」だけだと考えた。ならば、景気対策。公共事業(財政出動)である。国債を乱発し、赤字が積み上がった。失われた10年がみるみる、失われた20年になった。

橋本さんの鋭い点は第三に、政府も「上司のピラミッド」にほかならない、と見抜いたことだ。

会社は、現場をもっている。現場が利益をあげ、会社を支える。会社ではだから、上から下への風と、下から上への風の両方が、吹いている。