# 経済・ビジネス

パイロットが大量に不足する「2030年問題」を知っていますか

未来の空旅はどう変わるか・その6
戸崎 肇 プロフィール

自衛隊からの供給を拡充

3つ目のルートとして、自衛隊のパイロットからの登用がある。これについては、近年まで、一種の「天下り」として禁止されてきた。しかし、パイロット不足の問題が深刻化する中で、自衛隊からの人材供給のルートも解禁されることになった。
 
しかし、実際には、自衛隊の中でパイロットとして資格を得るための基準と、民間機を運航するための資格基準は一致していない。

そのため、自衛隊でパイロットとして活躍していても、民間の航空会社に転籍してから、改めて一定の訓練を受け直さなければならず、大きな時間的・コスト的ロスが生じるし、本人のプライド上の問題も出てくる。この両者の基準を今後どのように早急に統一していくかという問題が残っている。
 
また、あまり安易に航空会社への転職を認めてしまうと、自衛隊としては、本来の国防の機能に影響を与えかねないことにも留意する必要があるだろう。

自衛隊から民間パイロットへ(photo by gettyimages)

最後に航空会社と大学が連携してパイロットを養成するコースを設置し、そこでパイロット候補生を育成することも行われるようになった。

ただ、この場合には、大学受験時において一定のフィルターを通すとはいえ、航空大学校のように、パイロットとしての特性を厳しく見極めるような入試になっているとは言い切れず、卒業後の航空会社への就職も十分な実績を挙げているとはいえない。

さらには薬学部並みに学費も高く、教育上の投資効果は低いと考えられる。
 
いずれにせよ、国はパイロット不足の問題についてはその重要性を認識し、早急に対策をとることを明らかにしている。当面は自衛隊からのコースの拡充が進められる見込みである。 

整備士もCAも不足している

不足するのは何もパイロットだけではない。航空会社がネットワークの拡大・拡充競争に走る中、整備士も不足しているし、キャビン・アテンダント(CA)の需要も高まっている。

 

その中でも整備士はパイロットと同様、熟練するまで育成するのに時間がかかる技術系の専門職であり、かつマニュアル類は英語で書かれているので英語力も求められる。

しかもパイロットと同様、機材ごとに資格を取得しなければならない。パイロットの不足については大々的に取り上げられている一方、この整備士の不足問題はあまり認識されていないのが問題なのだ。

キャビン・アテンダントについては、昔ほどの人気はなくなっているにせよ、まだまだ人気職種であることは変わりない。

しかし、以前のような好待遇は見込めない。空港までは自分で通勤しなければならないし、一定時間内の乗務回数も増加している。念願かなってCAになっても、訓練を経て乗務を始めると、体力的に長く続かないケースも出てくる。

今後も経済のグローバル化がますます進展していくことはほぼ間違いない。そして、それを可能にするリアルなインフラストラクチャーが航空輸送である限り、その中で働くことは非常に魅力的であることは間違いないだろう。

そのことを強く社会にアピールし、将来この業界で働きたいという人々をさらに増やしていくことが、今後人材の安定供給を図っていくためにも重要である。

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