制約なき空にも制約はつきもの(photo by iStock)
# 経済・ビジネス

中東の航空会社におされる「航空アライアンス」のこれから

未来の空旅はどう変わるか・その5
メンバーを拡大しすぎた大手航空会社のアライアンスをよそに、エミレーツ、エティハドなど中東の航空会社は存在感を増している。アライアンスはどうなってしまうのか? 首都大学東京特任教授の戸崎肇氏が、航空の現況と今後の展望・課題について利用者目線から追っていく、連載第5回!

快適な座席、ラウンジ、コードシェア

LCCの攻勢を受け、従来型の航空会社であるFSC(Full Service Carrier)も従来のやり方を大きく見直さなければならなくなった。

 

LCC同様にコスト削減を図りながらも、どのようにして高付加価値のあるサービスを提供し、利用者により高い満足度を与えることができるか、それによってより多くの顧客を獲得あるいはつなぎとめていくかを必死に模索していくことになる。

そして、そうした変革を望まない航空会社はLCCに押され、次々と窮地に追いやられていった。

FSCの主戦場は国際長距離路線である。ここでは機内で過ごす時間が長くなるため、乗客も短距離の場合に比べてより多くの欲求をもつことになる。

まず座席である。

各社はより快適な座席の開発、提供を喧伝し、顧客の取り込みを競っている。ビジネスクラス以上であれば、フルフラットシートは今や標準装備といっても過言ではないだろう。

また、プライバシーを保護するために、座席ごとに仕切り板を設けている機材も増加した。さらに、座席も前向きだけではなく、窓の方を向いていたり内側を向いていたりと、よりプライバシーが守られ、快適性が増すように配慮されている。

ただ、こうした工夫は、一方で客室乗務員の対応を難しいものにしている。というのは、乗客が周りから見られないようにしてプライバシーを保つということは、逆に考えれば客室乗務員も乗客の様子を伺いにくいということになる。

そのため、乗客の意向を先取りして対応することがしづらくなるし、乗客もいちいち呼び出しボタンを押して客室乗務員を呼ばなければならない。

他方、マイレージの上級会員向けのラウンジもどんどん豪華なものとなっている。

機内食を摂るよりも、ラウンジで食事をしたほうが種類も豊富だし、味もよい。アルコールなども自分で選んで、ゆっくりくつろぎながら食事を楽しむことができるのだ。このためだけにも、マイレージを貯めて上級会員になろうという人は少なくないだろう。

上級会員向けラウンジは豪華そのもの(photo by gettyimages)

利便性を増加させるための取り組みとしては、コードシェアの増加もある。コードシェアとは同一の便に対して協定を結んだ航空会社間で、それぞれの便名をつけて販売することをいう。

こうすることによって、利用者は自分の好む航空会社の便として、別の会社の航空機を利用できる。

アライアンスの長所と短所

大手のFSCは1990年代後半から、1社単独で拡大戦略をとるのではなく、他者との提携を進める中で路線ネットワークの拡大を図るようになった

グローバル化が進展する中、国際線市場の成長可能性は大きくなったものの、リスク要因も増え、その影響範囲が拡大したことが背景にある。

情報化が進展し、世界のどこで起こった出来事でも、即座に世界的に報道されるようになった。その結果、以前よりも情報に振り回されるようになったのだ。遠い他国の出来事が為替相場や株式市場を乱高下させる。

いわゆる「イベントリスク」である。