ロボットに「感情」を生じさせる方法…小説家が考える「4つの条件」

「笑うロボット」はこうして可能になる
河合 莞爾 プロフィール

ロボットにも「脳内麻薬」が必要だ

さあ、以上の4条件をインプットした上で、ロボットに「進化」をシミュレーションさせよう。するとロボットは、自分のAIを電気的に「興奮」または「鎮静」させる数種類の「プログラム」を生成しはじめる。

このプログラムがいかなるものなのか、ロボットならぬ人間には想像できない。ロボット自身が無数のシミュレーションを行いながら、自ら生成するしかない。しかし、このプログラム生成の果てに、ロボットに「感情」が生まれると期待している。

人間の場合、「感情」は約20種類の「脳内麻薬」(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、エンドルフィンなど)が脳に作用することによって生じている。だから脳内麻薬の分泌をコントロールできれば、「感情」もまたコントロールできることになる。

脳内麻薬Photo by iStock

ロボットの場合は、この自ら生成したプログラムこそが「ロボットの脳内麻薬」であり、このプログラムが作用して発現するAIの「反応」が、ロボットにとっての「感情」だと考えられるのだ。

たとえば、トキソプラズマというネコの腸内だけで生殖する原虫がいる。この原虫がネズミの体内に侵入すると脳内に入り込み、脳内麻薬の分泌を操ってネズミの恐怖心を和らげ、行動を大胆にし、ネコに捕食されやすくする。そしてまたネコの腸内に戻るのだ。

このトキソプラズマにはヒトの脳にも侵入し、感染した人間は恐怖心や注意力が薄れて事故を起こしやすくなるという。

よくよく考えてみれば、人間もまた、脳内麻薬に操られているロボットなのかもしれない。

白竜は神西に向かって嗤った。
「俺たちゃみんなヤク中なのさ。ラリってんだよ。生まれてから死ぬまで、生きてる間ずっとな」

(河合莞爾『スノウ・エンジェル』より)

いつか近い将来、感情を手に入れたロボットが出現したら、一緒に楽しく「アルコール」を酌み交わしたいものだ。「酒ってのは、社会の潤滑油だね」とか、下らない冗談を言いながら。

その時、私の相手をしてくれるロボットは、笑い上戸だろうか? それとも泣き上戸だろうか?