例えば、日本では高校進学率は97%を超えていますが、いまだに高校は義務教育ではありません。受験しなければ高校に行けず、そのために多くの子どもが塾に通うというと海外の方に驚かれます。高校を卒業後に大学や専門学校で学ぶための学費はかなり高く、これも家庭で負担しなければなりません。給付型奨学金もようやくできましたが、まだまだ支給額も人数も少なく、多くの学生が貸与型奨学金を借りたり、教育ローンを利用しています。

海外では、大学や大学院も学費が無料や低額だったり、学費は高いけれど給付型奨学金制度が整っている国も多いのです。

ある時アジアの若者に、日本の教育制度の話をしたら、「あなたの話を聞いていると、お金のない子どもは大学に行けないようですが私の理解はあっていますか?」と質問されました。貧しい国でも、頑張って勉強すれば良い教育を受けられるのが当然なのです。

子どもは親を選んで生まれてくるわけではありません。だからこそ、どんな親の元に生まれても平等なチャンスが与えられるべきなのに、今の日本では、貧困な親の元に生まれると、経済的理由で十分な教育を受けることができず、その結果「貧困の連鎖」から抜け出すことができないのです。

貧困対策は「福祉」というより「投資」

私たちキッズドアは、貧困家庭の子どもを対象にした無料の学習支援を行なっています。これは子どもや親が助かるだけではなく、国にとっても大きなメリットがあります。

もし貧困家庭の子どもが勉強でつまづき高校に進学できなければ、安定した仕事に就くのはかなり難しく、家族の支えや、場合によっては生活保護などが必要になります。しかし、学習支援を受けて高校や大学に進学し就職をすれば、しっかりと稼いで税金を納められます。

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貧困対策というと「福祉」として捉えられがちですが、将来の日本の支えてを作る「投資」なのです。日本財団の試算によると、子どもの貧困対策は15歳の1学年を取っても2.9兆円の経済的損失を防ぎ、さらに1.1兆円の社会福祉費の削減効果があると言われています(2015年「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」より)。

子どもは日々成長し、少子化は急速に進みます。予測では2030年には高齢化率が30%を超えます。今の子どもたちがしっかりと働ける人材になっているかどうかが、2030年の高齢者の福祉に直結するのです。決して遠い未来の話ではありません。国民全体で、もっと子どもの貧困や少子化を真剣に議論することが何より重要だと私は考えます。