男女平等に「怯える男たち」をケア…男性危機センターの大切な役割

スウェーデンの「男性政策」に学ぶ
伊藤 公雄 プロフィール

男性対象のジェンダー政策

最近の相談内容も、トップは家族関を含む人間関係の悩みだという。感情の処理、育児の不安や離婚後の困難についての相談がそれに続く。また、自分の攻撃性や暴力についてなどDVにかかわる相談も多いという。

DV加害者に対しては、センタ―直属の組織で、「DVから自由になりたい」という意思を持った男性のみを対象に、グループワークなども展開しているという。30週近いグループワークの生み出す効果はかなり高いという。

実は、国連やEUは、21世紀に入って以後、「ジェンダー平等社会の実現のために男性・男子の役割を見直す必要がある」、という視座から、男性対象のジェンダー政策を活発化させている。この動きは、北欧から始まり、ドイツやイギリス、さらにイタリアなど南欧社会にも少しずつ広がりつつある。

東アジアでも、おそらくこの地域でもっともジェンダー平等社会を実現させている台湾では、政府による男性の悩みホットラインの設置やDV加害者男性への更生プログラムの実施などが、21世紀の始まりとともに展開されている。

 

日本でも2010年に策定された「男女共同参画基本計画」において「男性と子ども」の分野が設定され、「公的な男性相談」の施策が書き込まれた(筆者は、この分野の起草委員会の主査をつとめた)。

その後、地方自治体などで、日本でも少しずつ男性相談の仕組みが広がりつつある(実は、この施策にあらたな財政負担は必要ない。既存の相談事業のうち、何日かを「男性相談の日」と看板を付け加えればできることだ。もちろん、専門の男性対象の相談員の拡充など、いろいろ準備は必要ではあるが)。

日本が今後直面せざるをえないジェンダー平等へ向かっての変化を前に、女性のエンパワーメントの一層の推進を進めるとともに、もうひとつのジェンダーである男性をターゲットにした政策の広がりは、日本社会においても、ますます重要性をおびているように思う。

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