男女平等に「怯える男たち」をケア…男性危機センターの大切な役割

スウェーデンの「男性政策」に学ぶ
伊藤 公雄 プロフィール

1990年代に入って以後、(名目)GDPが500兆円前後での滞留を20年以上続けるという経済・社会の閉塞感も、このあたりに一つの原因があるはずだ。あまりにもうまく行き過ぎた70年代~80年代型のジェンダー構造がもたらした「成功体験」から抜けきれなかったのもその原因の一つだったと思う。

製造業を軸にした男性主導の単色の社会から、情報やサービスを主軸とする(女性の対等な参画を含んだ)多色刷り社会への転換を、日本は生み出せなかったのだ。

ジェンダー構造の変化の必要性という点では、日本独自の課題もある。少子高齢社会の深化だ。少子化の生み出した「労働力不足」は今や大きな問題になっている。それだけでなく、税や社会保障費を支える人口の減少という大きな問題も生み出している。

他方で高齢社会の深まりは、財政負担をさらに拡大するだろう。このままだと社会そのものが維持できなくなりつつあると予想されたのだ。だからこそ、女性の社会参画による社会基盤の拡充が求められていた。

〔PHOTO〕iStock

そのためには、男女の対等な労働参画とワークライフバランスの充実がまずは必要だ。加えて、高齢者がゆとりをもって社会参加・労働参加ができる仕組み、さらに外国人労働者の人権に配慮した法整備や多文化共生の対応など、少子高齢社会問題への対応は急務だったはずなのだ。

すでに、少子高齢社会の深まりを前に、1990年代には準備しなければならなかったこの課題に、日本社会はきちんと対応してこなかった。その結果が、「女性の安価な労働力としての組み入れ」、「高齢者の不安定な職業継続」、「何の準備もないままの外国人労働力の受け入れ」が、なし崩しで進められている現在の状況を生み出した(この事態はかなり危ういものだと思う)。

 

「ついていけない男性たち」

日本の男性主導社会は、こうした危機的状況にきわめて鈍感であり続けた。男性主導社会の「成功体験」のぬるま湯から脱出できずにきたのだ。しかし、既に述べたように、日本社会も今後大きな転換を求められざるをえない。Society5.0やIndustry 4.0といわれる時代状況は多様性とそれを担保するジェンダー平等=女性の社会参画の一層の拡充の道を選択せざるをえないからだ。

女性の社会参画のためには何が必要か。女性の社会参画の壁になってきた男性主導の近代産業社会の仕組を変革することが必須になる。女性たちが社会参画を拡大するには、これまで壁となってきた男性主導の社会の仕組みを変えることを要求するのはある意味必然だからだ。

しかし、男性の多くは、これまでの男性主導のルールが社会のルールと思っている。それゆえ、女性の社会参画=意思決定参画の拡大は、これまでの男性主導の「社会のルール」に変更を求めざるをえない。おそらく、男性たちの(多くは無自覚なままでの)反発や抵抗が生じることになるだろう。

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