日本銀行の金融正常化=長期金利利上げがトランプのおかげで大窮地に

最後のチャンスはこの4月
宿輪 純一 プロフィール

米国のおかげで身動きとれず

金融政策を司る日本銀行は、いわゆる「失われた10年」の対応として、1999年3月に、政策目標である無担保コールレート(翌日物)をゼロ%に近い水準に誘導した。その後、2000年8月に景気回復の兆しが見えて、一旦、正常化に向けて解除したこともあった。

しかし、2008年9月のリーマンショックが決定的で、先進国は揃って政策金利をゼロ%程度に誘導した。さらに、2013年4月に政策目標を資金供給量(マネタリーベース)の「量」に変更し、「質」の面でも長期国債の買入れや上場投資信託(ETF)等のリスク性の高い資産の買入れを開始する「量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)」と呼ばれる金融緩和を実行した。さらに、2016年1月に「マイナス金利」政策を導入した。

この超低金利で、地銀を中心とした「銀行」の収益は低迷することになる。いわゆる「副作用」であり、地銀の経営悪化もささやかれるようになってきた。

そのため、再度、金融政策の重心を「量」から「金利」として、2016年9月に「長短金利操作付き量的質的金融緩和」に軌道修正したのは、長短金利の差と安定的に拡大させるものであった。

 

銀行の経営破綻は、1997年11月の北海道拓殖銀行の事例にみられるように、経済に大きなダメージを与える。

それを回避するための金融政策の正常化は、当面、短期金利のマイナス金利をゼロ%程度に戻すこともやるだろうが、さらに重要なことは長期金利の引上げ、すなわち長短金利差を広げる(イールドを立てる)ことにある。

問題はその「時期」である。本来であれば、米国の中央銀行FRBが金融引締め(金利の引上げ)をやっている期間に、日本銀行が「平行」的に引締めれば、日本経済が最も嫌う「円高」の事態は回避できた。

しかし、FRBは利上げを中止することとなり、日本銀行は単独の利上げをするしかなくなってきている。この状況は「円高」になる可能性がある。すでに金融庁は金融機関に外貨建ての金融商品の販売について警鐘を鳴らしている。

特に重要なのは、日本の「政治日程」である。現在、統一地方選の真っ最中であるが、5月1日に新天皇陛下が誕生し、7月下旬には参議院選挙(投開票)が行われる。そして10月1日消費税が引き上げられる(ちなみにこの税制改革が4月ではなく、半期過ぎた10月というのもこの政治日程の影響と考えられる)。

新元号が決まっただけで一時的にも浮かれている日本経済では、5月1日の新天皇陛下の誕生時にはさらに浮かれることになろう。つまり、この”浮かれた”、景気が一時的によくなる時期に合わせ、金融政策の転換(=長期金利の引上げ)をするしかない。

この日程の中では、そういう観点からも、以前も述べたが、4月24日からの日銀の金融政策決定会合しかないと考えている。

選挙前の金融引締めは与党の人気を落とし、消費税引上げ前に実施して経済に予想できない動きがあっても困る。そして、消費税引上げ後は、その影響がどうなるか分からないし、ここでも以前、書いたが韓国と北朝鮮の統一の可能性が高まって来る。

このような日程の中では、金融政策の正常化(変更)は4月しか可能性としては残されていないと考えるのが道理なのである。