日本銀行の金融正常化=長期金利利上げがトランプのおかげで大窮地に

最後のチャンスはこの4月
宿輪 純一 プロフィール

副作用で銀行苦境

現在、最先端の経済学界では、日本では過度の金融緩和政策、とくにマイナス金利は「銀行の経営や経済にとって良くない」という論調に変わってきている。この変化は、金融政策が転じる、すなわち金融政策の正常化(金融引締め)の「地ならし」と位置付けられている。

最近、ローレンス・サマーズ元米財務長官がノルウェー中央銀行と共に「マイナス金利」政策を研究し、発表した。その結果は、「マイナス金利」は経済を冷やすということである。

スウェーデン中央銀行は2015年にマイナス金利を導入した。中銀に預けるお金の金利がマイナスになった銀行は、預かる預金はマイナス金利にできず、収益が悪化した。つまり、預金の多い銀行ほど、逆にリスクの高い貸し出しが、やりにくくなった(鈍った)ということが検証された。

確かに、マイナス金利が導入された日本と欧州の景気は良くない。

銀行の経営は、超金融緩和による「マイナス金利」や短期から長期までの「金利フラット化」の「副作用」で収益が低下し悪化した。銀行業は構造不況業種の最たるものとなっており、典型的な処方箋として合併・統合が金融庁より指示されるまでになっている。

 

銀行の収入は大きく分けて、「金利」と「手数料」に分かれる。以前は大部分が預金と貸出金利の差による金利収入であった。もっと突き詰めていうならば、短期調達の預金と長期運用の貸出という構造になっている。そのため、長短金利の差(イールド)が縮小することが収益を減少させるのである。超金融緩和で、これが大きく減少することとなった。

最近、金融庁から指摘を受けているが、銀行窓口で販売される貯蓄性の高い外貨建て保険商品などの販売手数料は、銀行経営において金利収入の低下を補うものともいえる。

銀行を倒産させないために金利収入を増加させるためには、「短期金利と長期金利の差」を広げる、いわゆる「イールド」を立てることである。

つまり、次の日本銀行の金融正常化としての利上げは「長期金利」を引き上げることになる。確かに、最近の日本銀行の国債購入はすでに減少している。

ここで気になるのは、長期金利の引上げ=長期国債の価格の値下がり、いわゆる「キャピタルロス」である。

ただ筆者はその問題の影響は極めて少ないと考えている。それは銀行が運用する国債はおおむね「20年物」であるうえ、日本銀行が低金利政策を始めて国債の発行利回りが低下したのも、1999年、つまり、すばり「20年前」だからである。つまり、1999年以降の国債は低金利、つまり、キャピタルロスの金額は低減しているのである