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二度の介護離職を経験したから言える「仕事」と「介護」を両立させる法

知っておくべき制度と法律
工藤 広伸 プロフィール

退職を考える前に相談しよう

仮に社内独自の介護制度がまったく充実していなかったとしても、要介護認定を受けて認められれば、介護保険サービスは誰もが受けられます。

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しかし、誰にも相談せずに介護離職する人が多いことや、介護離職後も介護保険サービスを利用していないという人が3割もいるという結果からもわかるように、そもそも介護保険サービス自体を知らない、あるいは周りから教えてもらっていないという方がかなりの数います。

職場の上司や人事部に相談して介護離職した人の割合は23.6%、ケアマネジャーに相談して介護離職した人は10.6%まで減少するというデータから見ても、まずは誰かに相談するのが大切なのだとわかります。

もっと言うと、介護に詳しい人に相談したから、介護離職をせずに済んだのです。介護がはじまった直後に誰に相談するかが、とくに大切だということです。

わたしは介護することが確定してすぐに、社内のイントラネットで介護制度を確認しましたが、独自制度がなかったため、介護休業法を読みました。すると、「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」という条件がありました。わたしは転職してわずか9か月目に介護することが確定したので、介護休業も使えませんでした。

 

その後、会社の上司に遠距離介護がはじまることを伝えましたが、これといったアドバイスはなく、人事部からも制度の説明はありませんでした。この記事は、とくに、そんなわたしのような立場の人に、わたしのようになってほしくないからこそ書いています。

独自の介護制度を充実させている会社には、ふたつの特徴があります。

ひとつ目は、大企業ほど介護制度を充実させ、介護離職防止に真剣に取り組んでいるということです。多くの中小企業はマンパワー不足のため、独自の制度もなく、介護離職防止に手が回っていません。

なぜそう思うかというと、わたしが制度を運用している現場の話を聞いたり、お会いして話したりした人事の方のほとんどが、大企業だからです。中小企業向けの講演をあっせんする会社から、介護と仕事の両立というテーマの講師登録依頼があり、試しに登録してみたのですが、1年経ってもオファーは0件です。

ふたつ目は、企業の規模にかかわらず、人事担当者が実際に介護を経験している、あるいは経験していた場合、介護制度が充実する傾向にあるということです。

介護の大変さをわかっているからこそ、社員をサポートしてあげたい、自分もやった介護と仕事の両立を、他の社員にはもっと楽な形で提供してあげたい、そんな熱意のある会社があります。