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二度の介護離職を経験したから言える「仕事」と「介護」を両立させる法

知っておくべき制度と法律
工藤 広伸 プロフィール

「社内制度」を調べておこう

育休と比べて、介護休業を取得する人は本当に少ないので、会社や上司に申請しづらいのが正直なところですが、そういった空気を察して、会社側が隠れた介護者を調べたり、独自の制度で社員を守ったりする動きがあります。

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とくに、社内で重要な責務を任されている40代、50代の社員を失いたくないと考える会社の中に、独自の介護制度を充実させているところもあります。

たとえば、介護休業で定められている通算93日以上の介護休業を与える会社、遠距離介護の交通費を補助する会社、介護相談窓口を設置する会社、コアタイムのないフレックスタイムを導入する会社などもあります。そして、短時間勤務ができる会社、テレワークを導入している会社など、様々な独自制度があります。

人事部は、社内のイントラネットやメールなどで、こういった情報を発信しているのですが、受け手である現場側に当事者意識がないために、情報をスルーしていることがよくあります。人事部側がいい制度を用意しても、利用率が上がらない、認知されていないという問題が起きています。

「介護離職をする際に、誰にも相談せずに辞めた」という人が47.8%もいるというアンケート結果(介護と仕事の両立を実現するための効果的な在宅サービスのケアの体制に関する調査研究・みずほ情報総研 2017年)があります。

 

ここからもわかる通り、社内の制度が充実しているにもかかわらず、介護がはじまると病院に寝泊まりしないといけない、自宅でずっとつき添わないと介護できないなど、介護初期特有の知識のなさ、精神的ショックから、介護休業法や社内の介護制度を知らずに会社を辞めてしまう人が多くいるのです。

また、会社にプライベートなことを持ち込みたくない、仕事で上司や同僚に迷惑をかけたくない、という思いやプライドが邪魔して、誰にも言わずに会社を辞めてしまうこともあります。しかし、何の制度も利用しないで、理由も告げずに黙って会社を辞めるほうが、会社にも家族にも迷惑がかかると、わたしは思っています。

もし、社内独自の制度があれば、その会社は介護離職を防止しようという姿勢が見えます。介護をする社員を受け入れようとする社内風土を醸成しようとしていると言えるでしょう。社内のイントラネットなどで、一度でいいので制度の内容を確認してみてください。

一方で、社内独自の介護制度がまったくない会社も結構あります。そういった場合は福利厚生を調べると、外部の介護専門家に電話相談ができるサービスを提供しているところもあります。

また、介護カフェも活用できます。介護と仕事の両立をしている先輩の介護者から、どういった制度を活用しているかを聞いてみるといいと思います。他社の人の情報であっても、得られる情報は宝になるはずです。