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あなたのマンションも「廃墟化」する?危険な2つのステップに要注意

「買えば安心」は大間違い
「終の棲家」であるはずのマンション。しかし、このままでは数十年後、多くのマンションが「廃墟化」するという。どうすればマンションが「粗大ゴミ」になるのを食い止められるのか? 『すべてのマンションは廃墟になる』の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司氏によれば、「廃墟化」は2つのステップを踏んで進行するという。あなたのマンションでも起こっているかもしれない驚きの実情を、榊氏が指摘する。

第1ステップ「資産価値喪失」

私は分譲マンションの廃墟は、ふたつの重要なステップを踏んで進行すると考えている。

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最初に、そのマンションの「資産価値喪失」が起こる。そのマンションの資産価値がおおよそ500万円未満になることを、ここでは「資産価値喪失」とする。

こうなると、そのマンション自体の存在意義が問われていくので、管理組合のモチベーションが著しく低下する。

詳しく説明しよう。

資産価値が500万円を切ると、区分所有者たちがそのマンションを所有していること自体に関心が薄れる。特に、非居住者にとってはそうなる。賃貸に出していて、賃料収入が得られていれば別だが、空室になっている場合は、なおさら関心が薄れる。やがて、管理費等を滞納するようになる。

管理費や修繕積立金を滞納されると、管理組合には入ってくるべきお金が入ってこなくなる。それでは困るので、支払いの督促をかける。督促業務は、通常管理会社がおこなうが、督促している主体はあくまでも管理組合だ。

督促しても支払われない場合、その住戸の競売を申し立てることになる。このときに、競売の諸費用や弁護士報酬などを差し引いても、滞納している管理費等をほぼ全額回収できるギリギリのラインが500万円なのである。

 

もちろん、この500万円は、滞納額の多寡によって変動する。滞納額が100万円程度なら、300万円で競落されれば元が取れるはずだ。ただ、滞納額が100万円であっても競落を申し立てるには、初期費用を百数十万円ほど用意しなければならない。これはあまり現実的ではない。

また、競売を申し立てる場合、申立人は個人か法人でなければならない。その管理組合が法人化していない場合、理事長の名前で申し立てをおこなうことになる。競売といえども、裁判の一種である。その当事者になるのを嫌がる理事長も多い。

このように、資産価値が失われることで管理費等の滞納が増えると、管理組合は督促に追われ、あるいは複数の競売案件を抱えることになる。その場合には、管理組合の事務能力が問われる。

あまりやる気のない管理組合だと、滞納を放置するケースが多い。すると、必要な収入が得られなくなる。入ってこないのだから、支払うほうも滞る。

最近、マンションの管理業界は売り手市場だ。長引く人手不足によって、管理人が集まらないのだ。だから、管理会社は業務を委託してくる管理組合に厳しい目を向けている。問題のある受託先は遠慮なく契約を解除される。

支払われるべき業務受託料が払われなかったり、理不尽な減額を要請されたりすると、管理会社は即座に「業務受託契約解除通知」を送りつけてくる。この場合、その解除日を過ぎると管理会社からは誰も来なくなる。