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ゴジラがこの四半世紀で50mも「身長が伸びた」ワケ

最大で118・5m

「大怪獣」感が足りない

今年で65周年となる『ゴジラ』シリーズ。その1作目となる『ゴジラ』('54年)は「特撮」の黎明期に撮られた作品だ。撮影時に使われたゴジラの着ぐるみは実寸2mしかなかったが、街並みを再現したミニチュアのなかではまさに「大怪獣」として映る。劇中でのゴジラの身長は「50m」という設定だった。

ゴジラは15作目の『メカゴジラの逆襲』('75年)までは初代と変わらずに50mだったが、その後大きくなっていく。16作目では80mとなり、'90年代に入ると、100mを超える設定に変えられた。なぜ、ゴジラはそこまで大きくなる必要があったのか。

昭和29年度作品の「ゴジラ」(東宝DVD名作セレクションより)

その理由は、ゴジラが映画のなかで「実在する街」を破壊してきたことにある。初代ゴジラが銀座松坂屋や国会議事堂をなぎ倒し、その巨体で東京を恐怖に陥れていた頃は、建築基準法により建物の高さは31m以下に制限されていた。そのため、50mのゴジラは東京のどの建物よりも大きかったわけである。

 

しかし、国が豊かになり、法律も緩和されると、東京の街並みは様変わりした。'68年に高さ147mの霞が関ビルが誕生するなど、その後も超高層ビルが林立するようになる。そうなると、50mのゴジラでは、高層ビルの谷間を歩くことになってしまう。それではもはや、「大怪獣」ではない。ゴジラは東京のビルの背丈が伸びるたびに、大きくならなければいけなかったのだ。

初めて100mを超えたのは、18作目の『ゴジラvsキングギドラ』('91年)。この作品では、新宿の超高層ビル群が舞台であったため、ここまで巨大化した事情があった。映画ではクライマックスの戦いで前年に竣工したばかりの東京都庁(高さ243m)が破壊されている。

ちなみに、シリーズ最大のゴジラは'16年に大ヒットした『シン・ゴジラ』の118・5m。一方、今や新宿のランドマークとして観光客からも大人気の「TOHOシネマズ新宿」のゴジラは初代と同じ50mの高さで作られている。(井)

『週刊現代』2019年4月13日号より