# 人材育成

日本企業が、人材育成を「経費」から「投資」にできない致命的理由

人材競争力が企業成長の源泉になる
平岩 力 プロフィール

人材競争力が決め手になる時代

続いて、「在籍期間に応じたLTVの高い社員」に共通する因子を見つけていく。

〔photo〕iStock

パーソナリティ(社員基本情報、性格診断等)や入社からのキャリアログ(異動履歴、査定結果、業績推移、受講研修など)を調べることで一定の因子が見つかる可能性が高い。ここまでくると、理論上、LTVの高い社員と近いパーソナリティの因子を持つ社員に、同様のキャリアログを辿らせればLTVが高まる確率が上がるといえそうだ。

例えば、入社5年目(パーソナリティタイプ:A)のLTVの高い社員と同様のキャリアログを、入社1年目(パーソナリティタイプ:A)の社員に辿らせるようなイメージである。具体的には、LTVの高い社員と同様のOJTとOff-JTを人材育成施策として提供することが必要である。結果、LTVの定点観測が可能になり、人材育成施策の「before→after」によりROIの輪郭も見えてくるものと考える。

 

「人材育成の効果測定」という観点から、LTVについての私なりの考え方を述べた。人材育成が「経費」から「投資」に変えていくためには、LTVのような、経営が判断し易い定量情報が必要になるだろう。HRテクノロジーを万能薬とは思っていないが、データを根拠に経営と共通言語で議論できる価値は非常に高いと考える。

HRテクノロジーの導入コストや社内人材データベースの構築など、障壁が高いことは重々理解している。しかし、人材競争力が企業成長の源泉であり、今後より貴重な経営資源となることは間違いない。

さらに詳しくは、新刊『トップ企業の人材育成力 ―ヒトは「育てる」のか「育つ」のか』をぜひご覧いただきたいが、人事が経営の問いに答え、人材育成を「経費」から「投資」へとシフトさせる。いつかやらないと、では遅い。今このタイミングから、シフトに向けた一歩となれば幸いである。

▼4月4日(木)『トップ企業の人材育成力~ヒトは「育てる」のか「育つ」のか~』発売
編著:北野唯我 
著者:平岩力/西村晃/西村英丈/西村隆宏/寺口浩大/堀達也/白石紘一
出版:さくら舎

「経営の右腕になりえる、CHRO の必要性」
「最高の仕事“採用” そして、その成功とは」
「組織は戦略に従うのか、それとも戦略は組織に従うのか?」

『転職の思考法』『天才を殺す凡人』の著者率いる最強のチームが答えを出す!

企業の「人材育成力」向上に向けて、明日から使える最新かつ最強の理論が詰まった本。詳しい目次はこちらから。ぜひ、経営者、人事担当者の方に読んでいただきたい一冊です。