トランプ「勝利宣言」の会場で私が見た、アメリカの恐るべき現実

「すべてQの予測通りになったわ」
海野 素央 プロフィール

「Qの投稿を見ていたので、驚かなかった」

白人男性のジョーさん(65)は、筆者が「この集会に参加するために渡米した」と語ると、一瞬驚きの表情を浮かべました。熱狂的トランプ支持者でもあるジョーさんは快く、筆者の質問に回答してくれました。

「私はバー司法長官が書いたモラー報告書の概要に満足しています。バーにはブッシュ(父)政権で司法長官の職に就いた経験があります。私は、バーとトランプは正直な人間だと思っています」

そしてジョーさんは、ロシア疑惑の捜査結果についてこう語りました。

「米国人は2年に及ぶロシア疑惑の捜査に飽き飽きしています。捜査の過程で、多額の税金が使われました」

実際、モラー特別検察官の捜査には2500万ドル(約25億5000万円)の予算が投入されています。

「米国社会の分断はかなり深刻になっています。たとえば、国境の壁建設や人工妊娠中絶の問題で、意見は真っ二つに分かれています。

人工妊娠中絶は殺人だと私は信じています。トランプ大統領にも、米国社会は統一できないでしょう。しかし私は、極左に妥協する気持ちはまったくありません」

ジョーさんは、米国社会における分断は深刻な問題だと認識しており、悲観的でした。

 

トランプ支持者のベネズエラ系米国人で元エンジニアのアルさん(64)は、カトリック教徒で、9人の子供と14人の孫がいるといいます。

「トランプは私たちを代表しています。ワシントンの政治家は私たちを代表していません」

アルさんは、トランプ大統領を支持する理由をこう述べました。

周知の通り、現在ベネズエラは政治情勢がきわめて不安定で、ハイパーインフレーションに直面しています。トランプ大統領は「民主党が政権を奪還したら、米国はベネズエラのようになってしまう」と訴えていますが、反社会主義の信条をもつアルさんには、トランプ大統領のこのメッセージが浸透していました。

アルさん(中央)と妻のデブラさん(右)、筆者

アルさんと一緒に訪れていた妻のデブラさん(62)は、メキシコ系米国人です。筆者が以前紹介した、ネットでトランプ大統領擁護の投稿を匿名で続けている謎の人物「Qアノン」の熱心なフォロワーでした。

「Qアノンの正体は米軍の情報機関のインサイダーで、投稿している人物は複数います」

デブラさんはQアノンについてこう説明すると、バー司法長官が提出したモラー報告書の概要について、次のように語りました。

「Qアノンは、バー司法長官がモラー報告書の概要を米議会に提出する前に、『共謀と司法妨害はなかったとの報告があるだろう』と投稿していました。ですから、私はバー長官の報告概要についても驚きませんでした」

デブラさんは、すべてQアノンの予測通りになったと言うのです。このとき、集会の開場までまだ8時間以上ありましたが、デブラさんはその間、Qアノンのメッセージをスマホで幾度となくチェックしていました。

会場に入る直前、デブラさんが突然筆者に話しかけてきました。

「Qアノンがたった今、『トランプ大統領が本気になる』と投稿しました。今夜の集会を境に、トランプ大統領は民主党とメディアに対して反撃に出るのです」

そう言うとデブラさんは、Qアノンの投稿を筆者に見せてくれました。そしてQアノンが予告した通り、トランプ大統領は集会で、議会民主党とメディアを容赦なく批判しました。