イチローが引退会見で語った「人望がない」の真意を読み解く

天才の心象風景を読む
週刊現代 プロフィール

人望なんか気にするな

そもそも、現在プロ野球の監督を思い浮かべたとき、「人望がある」と言い切れる人がどれだけいるだろうか。

「昨年セ・リーグ1位の広島・緒方監督、日本一3回の巨人・原監督、そして、パ・リーグで4年連続Aクラス入りを達成しているソフトバンクの工藤監督。

この3人に共通するのは、いずれもコーチ陣からの人望がないことです。自分とウマがあわないコーチに対しては口を利かなかったり、逆に事細かに口出ししたりして、いつの間にか周りがイエスマンばかりになっている。

逆に言えば、人望がないからこそ、非情な決断も下せるということでもある」(元在京球団コーチ経験者)

こうしてみると、人望があるかどうかは自分では客観的に判断しにくく、そもそも、人望がなければ監督をやってはいけないという理屈はどこにもない。

 

かつて、ヤクルト、西武で監督を歴任した広岡達朗氏が言う。

「結局、人望なんてものは、結果が出れば後から生まれてくるものです。選手は、『この監督は勝ち方を教えてくれる』と思えば自然とそれについていく。

むしろ、最初から人望があったり、選手やコーチに好かれようとしたりする監督はダメ。『勝つ』という責任に対する考えが甘いから、人にも甘くなるんです。

イチローは選手としてあれだけの結果を出した、掛け値なしの超一流です。『人望うんぬん』なんて、つまらないことを気にせずに、その経験を野球界に還元して欲しい」

ひたすらにヒットを追い求め続けた選手生活は終わった。だが、野球人・イチローの人生は、これからも続いていく。いつか、若者たちを率いてグラウンドに立つ姿を日本中が待ちわびている。

今週発売の週刊現代では、このほかにも落合博満氏の例などにも触れながら特集で掲載している。

「週刊現代」2019年4月13日号より

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