実際ユースクリニックの運営に長年携わってきた方からは、「はじめのうちはただ避妊具を貰いにきていただけでも、回数を重ねていくうちに安心して、自分自身が受けている暴力について告白してくれるケースも多い。そういった告白があった場合、私たちは、医師や臨床心理士とともに共同して相談者をサポートしていく」と聞いた。

性教育もきちんと行われず、そもそもなにが性暴力に当たるのかという認識自体が曖昧で、相談に踏み切る頃には深刻化してしまうケースも少なくない日本にこそ、このユースクリニックのような場所が求められているのではないかと思う。

待合室から診療所への扉。中の各部屋にも更に分厚い扉があり、防音がしっかりされている 写真提供/福田和子

学校と連携し、誰でも気軽に尋ねられる環境

ユースクリニックの認知度は非常に高く、2016年に私的に行った調査では、104人中、30代の男性ひとりを除き全員がユースクリニックを知っていると答えた。その認知度の大部分は学校教育に支えられており、同調査で99人が学校でユースクリニックの存在を知ったと答えた。

なぜそんなに多くの学生に認知されているのかというと、学校とユースクリニックがきちんと連携しているからだ。多くの学校で、ユースクリニックを訪問するか、ユースクリニックの職員の講演を設けている。それによって、自分の地域ではユースクリニックがどこにあり、どのような雰囲気で、どんな人が働き、どんな時に頼ることができるのか、学校教育の中で知ることができるのだ。

学校で教わるからこそ、安心して頼ることができるし、日本の女の子たちがよく産婦人科に抱きがちな「一体どんな場所で何をされるのか」といった漠然とした不安には襲われなくて済む。事実、先に上げた2016年の調査で15~29歳に該当した87人中、9割が「訪問経験あり」と答え、5~9回の訪問、10回以上の訪問と答えた人もそれぞれ20人と、その身近さには圧倒的なものがあった。

日本でも生まれてほしい相談のカタチ

なんだか日本の産婦人科について、散々ネガティブなことを書いてきてしまったが、もちろん、そういう病院、医師ばかりではない。

私は#なんでないのプロジェクトの活動をする中で、年齢性別問わず、学びを止めず、ひとりひとりに丁寧に向き合おうとする医師たちにもたくさん出会ってきた。若者専用の時間を設けている病院低用量ピルやアフターピルに学割を設ける病院厳しい部活動や勉強の中でもコンディションを整えられるように対応する病院など、さまざまな形で若者に寄り添う医師たちもたくさんいる。また、性感染症に限って言えば、施設数や開設時間の少なさといった問題はあるものの、各地域の保健所で、無料、匿名で検査を受けることができる(「HIV検査相談マップ」を参考に)。

とはいえやはり、病院や医師毎に温度差があるのも現実だし、まだまだ若くして産婦人科や性感染症検査に行くことへの抵抗や偏見は強い。しかし日本でも、厳しい部活動や受験戦争、キャリアを積む夢、と、若い女性をめぐる環境が刻々と変化を遂げている。だからこそ、スウェーデンのユースクリニックのような、誰からもジャッジされることなく、安心して訪れ、自己管理のポジティブな経験を若い頃から積めるような場所があったらと思わずにはいられないのだ。