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「在宅介護」か「施設介護」か…父、母、祖母の介護でわかったこと

「3つのポイント」で判断しよう
工藤 広伸 プロフィール

「つかず離れず」の距離感で

限界まで在宅介護をがんばる必要はありませんが、ある程度、在宅介護を経験してからでも、施設の利用は遅くないと思います。在宅介護を経験するうちに、介護者自身の知識や情報が増えますし、介護仲間や介護職との人脈も広がります。

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在宅介護の良し悪しを理解し、その間に築いた人脈を使って、地元の介護施設の口コミを集めてから、あわてずゆっくり施設を選ぶくらいが丁度いいと、わたしは思っています。

在宅介護か施設介護かを考えるときに意識してほしいのが、「ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ」です。簡単に言うと、ほどよい距離感で介護をするということです。この言葉は、次のようなたとえ話からきています。

寒い日の夜、2匹のヤマアラシがいました。ヤマアラシの体には、トゲがあります。寒いので2匹は近寄ろうとするのですが、トゲが邪魔してなかなか近づけません。かと言って、離れすぎてしまうとお互いの体温を感じることができないので、寒くて凍え死んでしまいます。

 

2匹のヤマアラシは、トゲが刺さらず、体温を感じることができる距離でいることにしました。これは、いわゆるつかず離れずの距離を見つけたというお話です。

在宅介護のデメリットは、介護する人とされる人がいつも一緒、いわばヤマアラシのトゲが刺さって痛い状態です。それに対して、施設介護のデメリットは、施設に預けたことで安心してしまって、面会すら行かない家族も一定数いるということです。これはヤマアラシ同士が離れすぎてしまって、体温すら感じられなくなっている状態です。

そのため、在宅介護をしている人は、デイサービスやショートステイなどを利用しながら、離れる時間をどうやって作るかを考えます。一方、施設を利用している人は、できるだけ面会に行ったり、介護職員とのコミュニケーションをとったりして、距離を近く保つことが大切です。

在宅介護は距離が近い分、気持ちの部分でも近づきすぎてしまい、ケンカや虐待につながることもあります。施設介護は距離がある分、気持ちも遠のいてしまうこともあります。近すぎる上の愛憎、遠すぎる上の無関心といったところだと思います。

つかず離れずの精神を、在宅介護でも、施設介護でも持ち続けることが、ムリなく介護を続けていくコツではないでしょうか?