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# 介護

「在宅介護」か「施設介護」か…父、母、祖母の介護でわかったこと

「3つのポイント」で判断しよう
「お母さんが倒れた! 早く病院に来て!」……誰もが突然、直面する可能性のある介護の問題。そのとき心強い味方になってくれるのが、父・祖母・母を連続で介護し、2度の介護離職をした経験のある工藤広伸氏の著書『ムリなくできる親の介護』だ。多くの人の悩みどころは、在宅で介護するか、施設に預けるかの選択だ。どちらのほうが、親、子ともに幸せになれるのか? 工藤氏に、それぞれのメリット、デメリットを解説してもらった。

「本人の意思」が一番大切

家族を介護施設に預けるか、在宅で介護するかは、大きな悩みどころだと思います。

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内閣府が発表している「高齢者の健康に関する意識調査(平成24年)」によると、「日常生活を送る上で介護が必要になった場合に、どこで介護を受けたいか」という質問に対し、60歳以上で「自宅で介護してほしい」と答えた人が男性で42.2%、女性30.2%となっています。

わたしはこの結果を見て、意外と介護施設や病院での介護を希望している人が多いと思いました。

「認知症になった場合は、どこで介護を受けたいか」という問いに関しては、「自立した生活ができるうちは、家にいたい」と考える人が49.3%と最も多く、「家族のことがわからなくなったら施設に入りたい」が42.3%となり、在宅と施設が逆転する結果となっています。

このように、介護を施設にお願いするか、自宅で行なうかは、病気の種類や状態、個人の意思によって分かれるのです(ただし、これは家族の希望ではなく、介護を受ける側の意思の話です)。

介護する家族の意思はまた別にあるのですが、わたしは、在宅介護か施設介護かを選択するために一番大切なものは、介護を受ける「本人の意思」だと思っています。

最期まで住み慣れた自宅で暮らしたいのか、子どもたちに迷惑はかけられないから施設がいいのか、認知症が進行して、家族のことがわからなくなるまでは自宅で暮らしたいのか、人それぞれです。

 

本人の意思を実現するために、次に考えなければならないことは、「その介護に親族がどこまでかかわれるか」ということです。

誰がメインで介護を行なうのか、まるでババ抜きのババのように、親族同士で介護の役割を押しつけ合う……これは介護家族でよくある光景です。ひとりっ子は、頼れる親族がいないから大変だという方もいますが、たくさんの親族で調整するのもかなり大変です。

世代によっては、介護施設に預けることに罪悪感を持ったり、他の親族から責められたりすることもあるのですが、そういった揉め事の対策のためにも、「本人の意思」を確認しておくことをおすすめします。

育児も介護も自分の手ですべて行なうべきと考える親族もいますが、本人の意思、介護者の生活まで考えて施設を選ぶことは、決して間違いではないと思います。

さらに言えば、介護する人は、親族の中で何となく決まっています。そこには、男女の違い、長男や長女といった昔からのしきたりは存在しません。むしろ、自分が介護したくないから、男女、長男・長女という理由を持ち出すケースが多いように思います。なるべくして介護者になるという、自然の摂理みたいなものがあると思うのです。

もうひとつ、本人の意思を実現するために大切なのが「お金」です。施設を希望しても、お金がなければ実現しません。そのお金は誰が出すのか、どうやって介護費用を捻出するかまでを考えて、はじめて在宅介護か施設介護かを選択できるのです。

在宅か施設かで悩んだときは、「本人の意思」「どれだけ介護にかかわることができるか」「お金」の3つのポイントで、冷静に話し合うことが大切です。