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「おひとりさま」の死のトラブルが続出中! 知人、遠い親戚が大迷惑

これだけは準備したほうがいい

「6親等の親戚」が亡くなって

相続人のいない「おひとりさま」は、誰にも手間をかけることがないから、死後の準備は不要だ。こう考える人は多いだろう。

だが、これは間違いだ。おひとりさまこそ、生きているうちにやるべきことは多い。

何の準備もせずに亡くなったとき、誰に、どんな手間をかけることになるのか。実際におひとりさまとして死んだ遠い親戚の死後手続きを押し付けられた、埼玉県在住の金田譲二氏(63歳・仮名)のケースをもとに、詳細に解説していこう。

金田氏のもとに警察から電話があったのは、昨年8月のことだった。

「福島県内の警察署から、『あなたのはとこが亡くなった』と連絡が来たのです。『ほかに親戚もいないようなので、あなたに死後手続きをお願いしたい』と言われました」

 

おひとりさまが亡くなると、警察は住民票や戸籍をたどって、6親等までの親戚に連絡をしていくことになる。もし連絡がつけば、遺体の処理や死後手続きを依頼される。

警察によれば、今回亡くなった金田氏の親戚は、両親もすでに他界しており、きょうだいもおらず、未婚だった。つまり、法定相続人はいない。ようやく連絡がついたのが、はとこ(6親等)である金田氏だったという。

「親戚の集まりで見かけたことはありましたが、彼女とは30年以上会っていません。でも、私がやらないと誰かに迷惑がかかると思い、手続きを引き受けました」(金田氏)

もし金田氏が遺体を引き取らなければ、第三者に面倒がかかることになる。

地方自治体で高齢者福祉担当職を務めた経験のある結城康博氏が語る。

「遺体の引き取り手がいなければ、役所が近隣住民や地域の民生委員(ボランティアの非常勤公務員)に連絡をして、死亡届の提出をお願いします。賃貸住宅に住んでいた場合は、大家さんに依頼することもあります」

役所や大家にまで迷惑はかけられない。そう考えた金田氏は、故人の死亡届や火葬許可証を提出し、遺体を火葬した。この火葬費用だけでも、20万円がかかった。だが、面倒な手続きはここで終わらない。次に待ち受けるのは、故人の遺品の整理だ。金田氏は、このままでは遺品を整理することができない。

「遺品は相続財産なので、口座の凍結の解除や不動産の名義変更と同様、相続人がいなければ、遺品の整理を行うことはできません(キーパーズ有限会社代表・吉田太一氏)

この場合は、相続財産管理人を選任しなければならない。親戚やアパートの大家などの利害関係人が、家庭裁判所に申立手続きをして、弁護士や司法書士を選任する。

「相続財産管理人によって管理・整理された遺産は、国庫へ納められます。申立人が特別縁故者として認められれば遺産を取得できる可能性もありますが、故人に経済的援助をしていた場合など、厳しい条件があり、認められるのは難しい」(司法書士の正影秀明氏)

しかも、この手続きの経済的負担は非常に大きい。正影氏が解説する。

「現金の財産が少なければ、相続財産管理人の報酬として、数十万~100万円を前払いしなければいけない場合があるのです。この予納金は遺産から払い戻される規定になっていますが、遺産がなければ、申立人の負担になります」