サザンから星野源まで…平成の名曲ベスト50を決めよう

異論が出るかもしれないが、でも納得
週刊現代 プロフィール

福山雅治の功績

次世代に残るような名曲は歌詞にインパクトがあることが共通点だ。前出の本間氏が言う。

「それがなければ単なるヒット曲で終わります。40代以上が青春時代に聞いて、いまも覚えている曲はどれも歌詞に重みがあるものでしょう。

例えばDREAMS COME TRUEの『未来予想図Ⅱ』。『ブレーキランプを5回点滅させることが愛してるサインになる』という歌詞は真似した方も多いと思います。

この曲が素晴らしいのは、『2人』というフレーズが多く出てくることで、男女関係なく主人公になれるところ。そういった曲は少なかったと思います」

 

平成のヒット曲を語るうえで、ほかにも重要なキーワードがいくつかある。まず「沖縄」だ。

「平成は沖縄の時代です。基地問題に加えて、旅行先や移住先として、より存在感を増しました。

音楽についていえば、琉歌を昇華させたり、洋楽のリズムを自然と身に着けたアーティストが登場する。安室奈美恵、SPEED、夏川りみなど、沖縄出身の歌手、沖縄ソングが花開いた時代だったんです」(前出・亀渕氏)

前出の馬飼野氏はこう続ける。

「夏川りみの『涙そうそう』は、琉球音階を取り入れた沖縄音楽がスタンダード化した記念すべき曲。誰が聴いても感動するメロディーラインです。

THE BOOM『島唄』は沖縄出身ではないバンドの沖縄ソングが、現地で受け入れられたことが凄い。いまでも沖縄で歌われています。'75年の田端義夫の『十九の春』以来だと思いますよ。

日本人みんなが『島唄』で歌われた沖縄民謡の世界にノスタルジーを感じるようになった。その点でも平成を代表する曲です」

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第二のキーワードは「花鳥風月」。音楽社会学を研究する関西大学教授の小川博司氏が解説する。

「四季を歌うポップスが定着したんです。特に福山雅治の『桜坂』のヒット以降、毎年のように桜ソングが流行ります。

洋楽テイストの歌からシフトして、日本的な自然を描写する歌が増えた。これほど花鳥風月を歌うポピュラーミュージックを持つ国はないでしょう」

そのなかでも、森山直太朗『さくら(独唱)』が名曲であることは疑いようがない。音楽ジャーナリストの柴那典氏が語る。

「'90年代はブームとして人気歌手が入れ替わっていく流れがありました。それに比べると、『さくら』が売れた'00年代前半はスタンダードな歌をじっくり楽しむという『回帰』があったと言えます。

この曲は、メロディの良さを必要最低限の音だけで、最大限活かすような構成にしている点が素晴らしい。なにより森山直太朗さんの楽器としての声が、さらにこの曲の良さを際立たせています」

前出の小川氏は平成、特に'90年代を語るもう一つのキーワードとして「カラオケ」を挙げる。

「カラオケボックスが急速に普及した時期で、歌って気持ちいい曲が広く受け入れられるようになります。松田聖子の『あなたに逢いたくて』はその代表例。

ポイントはミディアムバラードであること。平井堅の『瞳をとじて』や絢香『三日月』もそうですね。『瞳をとじて』は別れた恋人を想う曲。

『あなたに逢いたくて』しかり、惚れた腫れたではなく、大人の愛を歌っているんです。『三日月』は遠距離恋愛になってしまった相手を想う歌。『繋がっているから』の歌声に、多くの女性が共感しました。

大人は、単なる恋愛ソングではなく、たとえば『別れ』を描いた曲に共鳴します。共感する歌詞ほど名曲として残っていくものなのです」