サザンから星野源まで…平成の名曲ベスト50を決めよう

異論が出るかもしれないが、でも納得
週刊現代 プロフィール

平成最初のヒットはひばり

松任谷由実は平成の時代に3つのミリオンセラーを生み出した。『真夏の夜の夢』『Hello, my friend』『春よ、来い』。売り上げは3番目だが、『春よ、来い』が本誌読者の心をもっとも掴んだ。

「イントロだけで誰しも何の曲かわかる、凄みに溢れた名作。平成の時代に日本語の歌詞がめちゃくちゃになった中で、これだけ美しい日本語を書いた点も素晴らしい。完璧な一曲です」(音楽評論家・馬飼野元宏氏)

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平成で唯一300万枚を超えたSMAPの『世界に一つだけの花』を外すことはできない。音楽評論家で尚美学園大学副学長の富澤一誠氏が語る。

「メロディの心地よさもさることながら、歌詞が素晴らしい。『ナンバーワンにならなくてもいい』というメッセージに多くの人間がハッとさせられたことは間違いない。

そして、SMAPという幅広い世代に愛されるグループが歌ったからこそ全国民が知っている。SMAPの不在を考えると、この歌が全国民に届いた最後の曲と言えるかもしれません」

'89年1月8日から平成が始まり、その3日後に美空ひばりは最後のシングルを発売した。それが『川の流れのように』だ。作詞は秋元康氏。この年の6月にひばりは亡くなる。前出の上柳氏が言う。

「職業作詞家として、秋元さんよりも大きな存在はこれから出てこないかもしれません。この曲は彼がニューヨークに滞在していたとき、イースト川を見て作詞したと聞いて驚いたことを覚えています。

平成最初のヒット曲であり、ひばりさんの集大成。私も曲紹介するときは、まず居住まいを正す。そういう曲です」

 

演歌、歌謡曲は『川の流れ~』以外では、大泉逸郎『孫』や高山厳の『心凍らせて』などヒット曲はあるものの、幅広い世代に浸透しているとは言い難い。そんななかで、音楽評論家の前田祥丈氏は坂本冬美『夜桜お七』を推す。

「時代劇のような雰囲気が漂う曲が平成ではほとんど見当たらなくなりましたが、この曲は昭和の演歌を彷彿とさせる。しかも、ロックテイストが上手に使われてドラマチックに展開する。演歌でありながら、古臭さを感じさせない名曲です」

ベテランが新たなヒットを飛ばす一方で、平成には若い歌姫たちが次々に登場した。その先頭に立つのが、宇多田ヒカル。彼女のデビュー曲『Automatic』は衝撃的だった。音楽プロデューサーの本間昭光氏が語る。

「あのミュージックビデオは多くの人の目に焼き付いているはず。殺風景な部屋で宇多田さんが体を揺らしながら大人っぽく歌う。この時、15歳。昭和にはない洗練された映像です。

R&B感を前面に押し出し日本中のお茶の間に浸透させて、今までにない心地よいグルーヴ感を生み出しています。

バブルがはじけて日本が勢いを失い始めていた当時、爆発的に売れた彼女の存在は音楽業界では一つの希望になりました」

元テイチクミュージック常務で、音楽プロデューサーの高橋隆氏は時代性を反映した歌を挙げる。

「'90年代で外せないのは、B.B.クィーンズの『おどるポンポコリン』。織田哲郎さん作曲で、さくらももこさんの詞。クオリティの高い楽曲です。

ヒットの条件の一つは、曲を聴くと『絵が見える歌』。そして、極端に言えば、鼻歌でも歌えること。この曲は特に詞が強烈だった。ピーヒャラ、ピーヒャラ、パッパパラパ。これは普通の作詞家には作れない。

この曲をはじめ、『世界に一つだけの花』やゆずの『栄光の架橋』も詞が印象的で、景色が見える。詞に音が付いているようで、曲を簡単に覚えられるんです。

秋川雅史の『千の風になって』は『私のお墓の前で泣かないでください』というフレーズですべて決まった。景色が見えるでしょう。もともと作者不詳の詞に曲をつけたものだから、それぞれが自由に歌えもします」