年金暮らしの人が「持ち家を売る」のが大間違いである5つの理由

そして、不幸のどん底に落ちていった…
週刊現代 プロフィール

環境が変わるのも地獄

これまで登場した2人は、家を売って賃貸に引っ越したことで、かえって苦労をすることになってしまった。

一方、賃貸ではなく中古住宅に住み替えるという選択もある。もし、家がうまく売れるならこれもありだろう。

 

だが、住み替えるにしても、賃貸に移るにしても、住み慣れた環境を離れるストレスは想像以上に大きいものだ。新しい場所に移って友達も少なくなり、外出も減れば、「貯金寿命」どころか、自分の寿命まで縮めかねない。

3年前、退職を機に大阪府から長男夫婦が住む東京都日野市に中古住宅を買って移住した、福田聡さん(68歳・仮名)はこうため息をつく。

「なにより東京と大阪では言葉が違う。大阪のボケとツッコミの感覚も伝わらないし、会話の輪にうまく入れません」

福田さんの長男は今42歳で、孫は高校生だ。孫が小学生くらいの小さいときは、よく大阪まで来て遊んだものだったが、もうそんな年齢でもない。

長男一家と頻繁に会ったのも移ったばかりの2ヵ月ほどで、それ以降は、めったに顔を合わせることもなくなった。

「大阪時代は妻もスーパーでパートをしており、忙しくも楽しそうでした。それが東京に来てからは一日中ドラマの再放送を見てばかり。夫婦二人でいる時間も長くなったのに、話すこともなく、鬱々とした日々を送っています」(同)

福田さんは、東京に馴染もうとすればするほど、大阪が恋しくなってしまうという。だが、大阪に帰る家はもうない。

前出の太田氏はこうした高齢者を何人も見てきたと語る。

「いま住んでいる場所は知人も多く、しっかりとしたコミュニティができています。ですが、歳をとってから新しいコミュニティをつくるのは難しく、慣れた場所を離れるのはおススメしません」