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おひとりさまが今のうちにやっておくべき「死後の手続き」教えます

死んだら何もできないから

遺体処理がたらい回しに

「ある日突然、岐阜県内の警察署から電話がありました。岐阜市内に住む、父のいとこが亡くなったというのです。10年前の父の葬儀では見かけましたが、私はその方と人生で数回しか会ったことがありません。

それなのに、警察からは『連絡のつく親族はあなたしかいないので、遺体を引き取って欲しい。可能であれば、役所への書類の提出などの手続きもお願いしたい』とまで言われ、戸惑いました」

こう語るのは、神奈川県在住の井上雅史氏(62歳・仮名)だ。

警察によれば、井上氏の父のいとこは、親がすでに他界しており、未婚で、きょうだいもいない。そのため、法定相続人ではない井上氏にまで、連絡が来たのだ。

実は、このようなケースはけっして珍しくはない。配偶者もいない。子どももいない。親もすでに他界している。そんな「おひとりさま」の相続が、急増しているのだ。

 

一般社団法人日本少額短期保険協会による「孤独死現状レポート」には、残酷な現実が記されている。東京23区内に住む65歳以上の高齢者の孤独死は、'03年には1451件だった。それが、'15年には、倍以上の3127人となっているのだ。

法定相続人となる親族がいない場合、井上氏のように、縁遠い親族にまで連絡が来て、死後手続きを押し付けることになる。だが、このような親族が見つからなかったり、死後の手続きを拒否されるケースも多い。

独身の高齢者であれば、「死んでも誰にも迷惑はかからないから、特に準備は必要ない」と考えてしまいがちだ。だが、「相続人のいない人こそ、思いもよらぬ迷惑をかける可能性がある」と警鐘を鳴らすのは、税理士の板倉京氏だ。

「相続人のいない人の死後手続きは、自動で誰かが担当してくれるわけではありません。納骨、葬儀、役所との手続き、遺産の処理などは誰がやるのか。国や行政、遠い親戚にまで、迷惑をかける恐れがあるのです」

人に迷惑をかけずに生きているつもりのおひとりさまこそ、死後の準備を入念にしておくべきなのだ。

では、おひとりさまが亡くなったとき、どのようなトラブルが起こるのか。以下では、その流れをシミュレーションしていこう。