コスメ業界を一変させる大発見をした名研究員に訊く「美白の科学」

美白のカリスマ研究員がキャリアを語る
リケラボ プロフィール

モチベーションの保ち方・伝える力の伸ばし方

──本川さんご自身、学生時代はなかなか思い通りにいかないことが多かったとのことでしたが、どのようにすれば逆境の中でもモチベーションを失わずにいられるでしょうか?

今だからこそ言えるのは、「そういう時期が一生続くわけではない」ということです。異動だったり何かのタイミングだったり……。環境が変わるチャンスがどこかで必ずやってきます。だからこそ、今できることをきちんとやっておきましょう。

日ごろちゃんとしておけば、チャレンジできる時期がきたとき、きっと周りも応援してくれるはずです。夢と現実にギャップがあるときは、うまくいかない今の状況だけを見て悲観するのではなく、少しだけ未来を想像しながら目の前のことに取り組むといいのではないでしょうか。

また、自分が熱量を持って取り組めるものを見つけることも大切ですよ。ただ、本当にやりたいことって、自分でもよく分かっていないことが多いように思います。その場合は、与えられた普段の仕事にひと工夫して、何でもいいので自分が「いいな」と思えるものを付加してみるといいかもしれません。

目の前のことにきちんと取り組みながら、自分が熱量を持てるよう少しずつ工夫して、頑張ってみてください。

──それから、「伝える」ことを大切にされてきたというお話がありましたが、「コミュニケーション能力」を上げるにはどうすればいいでしょうか?

まずは、「何のために」伝えたいのかということを考える必要があるのではと思っています。

伝えることはあくまでも手段で、その先には目的があるはず。相手と仲よくなりたいのか、情報を伝えたいのか、何かやってもらいたいのか……。話し方の訓練の前に、「誰に」「何を話して」「どうなりたいのか(どうしてほしいのか)」を明確にすることが大切です。一対一で話すのか、複数に向けて話すのかによっても、話し方は変わりますよね。

また、「コミュニケーション」と一括りにされがちなのですが、コミュニケーションにはいろいろな種類があることに意識を向けてみてください。

研究内容など専門的なことをわかりやすく伝えるといった視点でいえば、家族などの専門家じゃない人に話してみるのが一番いいのではと思っています。就職活動でも、仕事でも、専門外の人に自分の研究について伝える場面は結構あるはずなので、伝える練習をしておいて損はないはずです。

──アドバイスありがとうございます! それでは最後に、本川さんご自身が現在力を入れているお仕事やビジョンについてお聞かせいただけるとうれしいです。

ここ2〜3年は、化粧品の枠を超えて新しい価値を創造することを目指す取り組みをしています。このプロジェクトでは、研究だけでなく、ビジネスモデルの設計も同時に進めて、研究結果を早く世の中に出せる仕組みを構築しようとしています。

これまでは、基礎研究をして、結果をもとに開発して、それをうまく事業にするためのビジネスモデルをつくって……と、段階的に進めることが一般的なやり方だったと思いますが、同時に進めることで、スピーディーによりよいものを生み出せるようになります。研究と並行して社会のニーズを探るので、それによって基礎研究の方針が変わることもあり、互いに影響しあう点も面白いです。

これまでは「美白」というゴールが明確なものを最短ルートで実現するための手段を探すのが仕事でしたが、これからはゴール自体を自分たちで探して事業化していきます。この「新価値創造プロジェクト」については、もうすぐいろいろと世の中に発信できるかと思うので、楽しみにしていただけたらうれしいです。


本川智紀本川 智紀(もとかわ とものり)さん
ポーラ化成工業株式会社 フロンティアリサーチセンター 上級主任研究員。理学博士。筑波大学大学院 医科学研究科を1998年に修了後、同年、ポーラ・オルビスグループの研究、開発、製造を担うポーラ化成工業株式会社に入社。シミの発生メカニズムなど美白に関する研究を続け、第一回日本色素細胞学会奨励賞受賞(2008年)、国際化粧品技術者会で最優秀ポスターアワード受賞(2012年)、財団法人日本粧業界 業界発展功労者表彰(2013年)など数々の受賞歴を持つ。


(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら