# 地方創生

「映画になった男」が語る逆転の発想。「過疎地にこそチャンスアリ」

人も企業も再生する地方オフィスの魅力
吉田 基晴 プロフィール

過疎地ならではのチャンス

私が当初、「半IT半X」というキーワードを提示したとき、Xには趣味を想定していました。海・山・川、豊かな自然を利用すれば、さまざまな趣味が楽しめる。それは観光地に遊びに行く感覚とそう変わりません。そこに暮らす人の視点やその地域に貢献しようとする発想に欠けていた。正直、「田舎を消費しようとしていた」と言われても仕方のない面がありました。

実際に美波町で働き始めると、「つとめ」だけではない発見もありました。

じつは過疎地はビジネスチャンスの宝庫でもあったのです。

実際に住んでいると、地域の人からいろいろな相談が持ち込まれます。

・増える単身高齢者の見守りをどうするのか?

・美波町は南海トラフ地震の際は、津波に襲われる地域と想定されているが、外出中に大きな地震にあったとき、どこに逃げればいいのか?

・美波町はトライアスロンなどのアウトドアスポーツでも知られているが、人手の関係で大会を維持するのがたいへん。

 

こうしたときこそ、ITの出番です。

たとえば、

・単身高齢者の見守りのためには、彼らにカメラやセンサー付きのぬいぐるみをわたすことで、彼らの様子を遠く離れたところに住む家族が見られるようにしたり、熱中症にかかりやすい気温になったらぬいぐるみが反応して高齢者に警告を出すことで、事前に事故を防ぐ工夫をする。

・地震の際の避難路の確保には、専用のアプリをダウンロードしてもらえれば、どこにいてもスマホを使って、避難路への誘導ができるようにする。

・トライアスロン大会などでは、大会参加者にICタグをつけることで、どこを走っているか、なにか問題が発生していないか、離れたところにいるスタッフや家族にもわかるようにする。

ほかにも老朽化するインフラの補修・整備、増える空き家をどうするか、などなど、過疎地には課題が山積みです。

だから過疎地の問題は、「仕事がないのではなく、仕事があってもその担い手がいない、人がいないことにあるのです

その背景にあるのは、少子高齢化です。つまり日本全国どこでも現在進行中の出来事。そして、いずれは東京はじめ都市でも起こること、そして世界中でも起こることです。

そう考えると、いま過疎地で課題を解決するビジネスを生み出せれば、それは日本中でも売れるし、世界にも売れる。「過疎地は課題の先進地域」と捉え直すことで、ここは打ち捨てられた場所ではなく、ビジネスチャンスを求めて人が集まる場所になり得るのです。

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