イラスト:渡辺恵美 デザイン:チカ

大ヒットする新書の企画は、「ネットの情報」から生まれるか否か

女子東大院生が現代新書編集部を直撃⑥

ひょんなことから、現代新書の編集部に少しだけ出入りしている女子大学院生の私、ナナ。今月、大学院を修了して、4月からは社会人になる。

だから最後に、ヒミツの企画会議と、それが終わった後の新メンバー歓迎会(という名の飲み会だけれど)に特別に潜入させてもらった。

前編(新書の企画会議に潜入してわかった、ベテラン編集者の「企画発想法」)で教えてもらったヒロシ&ジュンさんの企画の立て方は、とくに勉強になった。編集長ハジメさんの「関係ないモノ同士のかけ合わせ」発想法も、目からウロコだったなぁ。

どうやら、「企画」の立て方にも、人それぞれのスタイルがあるらしい。よし、他の人にも、どんどん聞いてみるぞ!

〜 ナナから見た、編集部のキャラクター 〜
ハジメ アラフィフの愛され編集長。得意分野はノンフィクション。「新書の新しい突破口」を見出すべく邁進中
ヒロシ 哲学から少女漫画まで、幅広いジャンルに精通。オビやお土産のセンスは女子ウケ抜群。今年定年を迎える
ジュン 学術書一筋、温厚で気品溢れるジェントルマン。日本史に造詣が深く、「歴史のプリンス」の異名を持つ
リュウ 元フライデー編集長。最近は新書における「ビジネス書」ジャンルを模索中。昨年後半から組合活動で大忙し
マル 時事・社会系のタイトルで数々のヒットを飛ばす、現代新書のエース。編集長の座を狙っているという噂が……
ヨネ ユーモアセンスは編集部随一、シロクマさんのようなムードメーカー。しかし、その私生活は謎に包まれている
イッツー 某雑誌の編集部に勤務後、3月から現代新書に正式配属されたクール・ガイ。思想書へのパッションは計り知れない

マサ コミック部署より異動して1年半の新・プリンス。キラキラの目で誰もを魅了する。若者向け教養書に力を入れたい
ショウ ナナの後任の大学院生。膨大な読書量を誇る、本好き男子。マイブームは現代新書のタイトルから担当編集者を予想すること
イラスト:渡辺恵美

テレビ、新聞、ネットから企画は生まれる?

ショウ 本の企画は、本から生まれることが多いというのが興味深かったです。本以外のメディア、例えばテレビや新聞から企画を考えることはあるのでしょうか?

ヒロシ 教養書の場合は、川上・川下があるということをよくいうのだけれど、例えばテレビの歴史や教養系の番組は、われわれが作る本がネタ元になっていることが多いから、テレビ番組から本、という逆のパターンは、なかなか難しいんじゃないかナ。

ヨネ ネットやスマホからでは、「お話に・な・ら・な・い」(←ヒロシさんの口ぶりで)企画しかできないということでしょうか。

ジュン 新聞に関してはよく、「1日の新聞から5つくらい企画を出せないようではダメだ」、ということは言われていましたね。たしかに、新聞を読むことは、企画を立てる練習になります。

ナナ ずばり、リュウさんのネタ元はどこですか?

リュウ …………。スマホ。

(一同笑)

ナナ スマホ! ネットから、というご意見はこれまであまり挙がらなかったですが、ネットにもいろいろな可能性がありそうだな、とは思っていました。

リュウ いまの編集部に、たとえばヤフーニュースだけから企画を考える「お話にならない」編集者なんていないから、一人ぐらい目配りしてもいいかなあと思って……。

というのは半分冗談ですけれど、雑誌が減った今、面白いフリーランスのライターさんを一番探しやすいメディアですから

もちろん「ネットでウケるけれど新書では売れない」というテーマは多いかもしれませんが、面白い見方のできるライターさんは、ネットの記事もやはりどこか一味違うし、違うようにしようと工夫してます。

ナナ 書き手の方を探す、という視点で記事をご覧になっているのですね。たしかに、ウェブメディアには勢いのあるユニークな若手ライターさんが多いと思います。

マルさんはいかがですか?

マル うーん、もともと自分の中につくりたい新書のテーマがあって、新聞や雑誌(経済誌・月刊誌)に面白い視点や切り口の記事を寄稿している筆者がいたら、コピーをとったりノートにメモっています。

あと、ネットでバズってる話題を参考に、「もっと深めたり広げたりして1冊つくれないかな」と考えることもあります。

ナナ ネット派の方も、案外いらっしゃいますね! SNSも、チェックされるのでしょうか?

イッツー 僕は一度、ツイッターから企画につなげた経験があります。学者さんたちが、以前に哲学者の〇〇が熱いよね、というツイートで盛り上がっていて、よし、それに乗ろうと。あのとき、「素材を探す場所が変わったんだな」と感じました。


新メンバー
イッツー

マサ 特にツイッターでは、学者のみなさんが「いま〇〇がホットだ」ということを共有されているので、アカデミズムの流行は、よくわかる気がします。

イッツー 逆に、それらを読んでいないと、著者さんとの会話についていけなくなってしまう、ということも起こります。

ナナ 書店で、新聞で、スマホで……みなさんそれぞれだと思いますが、いずれにしても、日常生活の中で、偶然出逢ったり、思い浮かんだり、ということが多いのですね。

マサ そう! あまり、力むように考えて思いつく、ということはないかもなぁ。

ヨネ 少なくとも僕は、会社のデスクでうんうん唸って考える、ということはない。飛行機の中で、時速1000㎞の移動中とか。つねに動いてないと、良いアイデアが浮かばないのです。

ショウ (飛行機の中では、自分は動いてない気がするけどなぁ……)