ひょんなことから、現代新書の編集部に少しだけ出入りしている女子大学院生の私、人呼んでナナ。今月無事、大学院の修了証書を受け取り、4月からは社会人としての一歩を踏み出す。
現代新書編集部でのお手伝いもいよいよ卒業で、ちょっぴりさびしい。
だから最後に、メンバーが一堂に会する、ヒミツの企画会議と、それが終わった後の新メンバー歓迎会(という名の飲み会だけれど)に潜入させてもらった。
社会人として仕事をしていくうえでも、面白くてためになるお話がたくさんで……聞いているうちについつい、酔いも忘れて、のめり込んでしまいました。
(3月某日19時、会社近くの洋風居酒屋に、メンバーが集合した)
ハジメ 皆さん、今月の企画会議も、お疲れ様でした。まだ仕事中で来ていない人もいますが、まず乾杯しましょう。現代新書新メンバーになったイッツーくん、よろしく!
そして、ナナくんは東大院修了おめでとう。ナナくんの後任のショウくんも、これからよろしくね。では、カンパーイ!
(一同、プハ~ッ!)
ハジメ 大学院生のショウくんは、本の企画会議に参加したのは人生初だったと思うけれど、どうだった?
ショウ どんな人に、何のテーマで書いてもらうか。それから、どのような目次や構成にするか。おすすめポイントや、オビのイメージまで……大変そうだな、と思いました。
会議ではみなさん、それぞれ企画を2~4本出されるのですね!
ナナ 今日の会議で出された企画も面白いものばかりでした。みなさんが、いつどのように、そんな企画を発案されるのか、ということをぜひ伺いたいです。
ヨネ ほお!(カプレーゼを頬張りながら)それはなかなか回答が難しいけど、言われてみれば、読者のみなさんには、すごく関心がある話題かも。
編集者の仕事について、大学生に話す機会も多いんだけど、そこで必ず訊かれるのが、「企画をどのようにして立てるのか?」「ネタをどこから探して持ってくるのか?」ということ。
先日のインターンシップでは、「居酒屋で知らない50代おじさんたちの会話を聞いてヒントを得る」という話をしましたが、すごくウケていましたよ。
ハジメ ええっ! それは某敏腕編集者のネタの受け売りじゃないか……自分の本当の手の内は隠しているなんて、ずるいなぁ。
ヨネ でも、その方法はたしかにあるなと思ったので……みなさんが企画をどう立てているのかということは、ぜひ私も知りたいです。
ハジメ じゃあ、聞いてみよう! やはり、まずは「歴史のプリンス」こと、ジュンからではないでしょうか。ジュンさんは、よく勉強しているし、企画が一番、しっかりしていますから。
ジュン 本を読んで、考えたり、面白そうな著者さんを探したりすることは多いですね。
学術書もそうですし、最近は種類も減ってきてしまいましたが、大型書店に行けば、学術系雑誌もなるべく目次くらいは目を通すようにしています。
書籍編集の駆け出しの頃、企画会議に出ても、会話のなかに登場する著者の名前も、テーマも、わからないことだらけでした。
当時刊行されていた『AERAムック』の「宗教学がわかる」「歴史学がわかる」といったシリーズをそろえてみたり、『別冊宝島』の「現代思想」の特集号や『大航海』などを読んで、どんな研究者さんや著者さんがいるのか、ということを勉強していました。
ハジメ いわゆるネタ本、というやつですね。
ナナ (ふむふむ、ネタ本からまずは探すのか……)
ジュン ただ、今日の企画会議で提案した『××帝国』の著者、▲▲さんは、もともとご縁のあった方だったのです。
ヨネ もともとのご縁。ずばり、企画のネタはまず、人脈から。ちなみに、僕の担当した『老いる家 崩れる街』の著者・野澤千絵さんは、過去に現代新書を書いて頂いた著者さんからの紹介でした。
ジュン 長いご縁のある方も多いです。その▲▲さんは、以前に私が選書メチエに所属していた時に、何冊か本を書いていただいていた方で、ちょうど先日、ヒロシさんと一緒に会いに行ったんです。