2019.04.01
# コミュニケーション

場の「空気」に支配されないためには「黙り方」こそが重要だ

「お約束」を問い直す方法
荒木 優太 プロフィール

そのためには、いわば「ちょっと何言ってるか分からないです」(byサンドウィッチマン)、すなわち、一から説明してください、どうぞ、ということを求める技術的な黙り方が大きな役割を果たすはずだ。

文と文脈をいったん分離させる幕としての沈黙。空気支配に屈従しない、させないためには、簡単にいえば、「ビギナーにとってその言葉はどのように響くか?」ということが常に問われていなければならず、聴き手の沈黙には、声を挙げるのとは別の仕方でこれを問い返す力がある。

〔PHOTO〕iStock

沈黙を阿吽の呼吸に簒奪されてはならない。言葉がそうであるように、沈黙にも技術がある。文脈を寄せつけない沈黙、文を待望する沈黙の技術はもっと日常的に見直されてよい。

 

ただ頷いて場をやり過ごすことに成功したら、次のステップ。いつも聴き手に回ってる人が、どんな沈黙ならば話し始めるのか考えるべし。話しにくいとしたらどのような雰囲気をつくればいいのか。お喋りを黙らせて別の人にパスさせるための積極的無視のだんまりをどうやってつくればいいのか。それは頷くことしかできなかった自分自身の発話の条件を考えることでもあるはずだ。

声は沈黙との共同作業で成り立っている。誰かが喋るとき必ずや誰かが黙っている。沈黙は声のステージで、そしてステージが変われば声の響き方も変わる。黙れることとはかくも責任重大な人間の能力なのだ。

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