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# 中国経済

中国・李首相が「バラマキ型量的緩和」を控える発言、その本当の意味

「独裁国家」のひずみが見えてくる

全国的にすすむ「景気の落ち込み」

2019年に入り、中国の景気減速がしきりに報じられるようになった。今年1~2月の小売売上高の伸び率は前年比8・2%となり、'03年並みの水準に逆戻りしたという。

こうしたなか、李克強首相は「量的緩和(QE)や公共投資の大幅な拡大などの措置を講じようという誘惑に抵抗する」と発言した。緩やかな減税は継続するが、景気拡大を狙った量的緩和は控える、という判断である。このような発表に至ったのは、なぜなのか。

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まず、マクロ経済政策には、「財政政策」と「金融政策」の2種類があることを押さえておこう。

財政政策の選択肢はさらに、「公共投資を増やす」「税金を減らす」と分けられる。減税は続けると言っている中国は、財政政策を取りやめるわけではないことがわかる。

 

ただし公共投資と減税は、その効果を受ける対象が異なっている。公共投資の場合は、波及効果を受ける地域は限定される。官製企業の多い中国ならなおさら、恩恵を受けるのは官とつながりのある地域や企業ということになる。

一方、減税は全国に波及し、民間消費を促す。今回、中国が減税路線を明確にしたのは、景気の落ち込みが全国的に進んでいるのが大きな原因だろう。

また公共投資の場合、自治体も負担分があるが、中国は地方自治体単位で深刻な債務問題を抱えているところが多い。そもそも公共投資に耐えられる経済状況ではない地域もあるのだ。

では、量的緩和や引き締めといった金融政策に中国政府が言及しなかったのはなぜか。これは、中国の政治経済の基本的な構造が関係している。