# 経営者

ゴーンもかつてそうだった…組織のトップは概ね「ゴマすり屋」である

プーチン、ノリエガ、豊臣秀吉……
大原 浩 プロフィール

内部で出世した人間は環境の激変に弱い

企業などの組織が順風満帆な時は、「ゴマすり」がトップに上り詰めることが多いし、コミュニケーション能力にすぐれるが判断能力にすぐれているとは限らない彼らが経営のかじ取りを行っても問題は無い。

例えば、飛行機の離着陸は難しいが、一度大空に飛び立てばパイロットはほとんどすることが無い。セスナ機などは、上空で操縦かんから手を離しても、特別な制御をせずにそのまままっすぐ飛んでいく。

しかし、会社や組織は順風満帆の中だけを飛ぶのではない。嵐や台風の中を飛ばざるを得ないこともあるし、離着陸も当然のごとく行わなければならない。

そのような「有事」の際にはコミュニケーション能力に優れた「いい人」は頼りにならない。

むしろ、組織の中の「はみ出し者」が大活躍する。

英国の宰相ウィンストン・チャーチルがその典型であろう。彼は大酒のみのニコチン中毒で、マナーをわきまえず、頑固で自分勝手で融通がきかない人間なので、長らく冷や飯を食っていた。最近、「ウィンストン・チャーチル」(2018年)という映画が公開されたが、好意的に描いてもその程度で、絶対に友達にはなりたくない類の人物である。

しかし、だからこそ、ネヴィル・チェンバレンのようなコミュニケーション能力にすぐれた英国紳士たちの「ナチスとの平和的融和」の声を押し切って「徹底抗戦」を行うことができたのである。

 

はみ出し者を抱えることはリスクヘッジである

最近、内部で後継者を育てることができず、外部から「プロ経営者」なるものを移入する例があるが、これは恥ずべきことである。

「企業の経営は、企業の内部を熟知した人間が行うべきである」と、投資の神様・ウォーレン・バフェットも常々強調している。

ただ、順風満帆な時には好都合な「ゴマすり」を大量に養成している企業だと、ウィンストン・ストンチャーチルのような人材が有事に現れてこないのも確かである。

平時には、「お荷物」とさえ思える人間が、有事の際に大活躍するのは、歴史を振り返っても明らかである。だから、「はみ出し者」を抱える懐の深さこそが、有事の際の企業(組織)の命運を左右するのである。

(一部敬称略)