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弁当の平成史〜キャラ弁ブームから料理男子、おにぎらずまで

こんなに変化が起きていた

冷凍食品の普及とキャラ弁ブーム

春になると、書店の料理本コーナーには弁当レシピ本がずらりと並ぶ。4月になれば新入生、新入社員が、弁当を持って学校や職場へ出かけるようになるからだ。

今回は、そんな手作り弁当の平成30年間を振り返る。平成には、日常の弁当の世界でも、いくつか興味深い出来事があったからである。

1999(平成11)年、日本水産から自然解凍する冷凍食品「おべんとうに便利」シリーズが発売。最初に出たのは、「ひじきの煮つけ」と「ツナとコーンのポテトサラダ」。カップごと弁当箱に入れておくと、昼には食べ頃になっているという画期な商品だった。

その後、自然解凍する弁当は定番化し、手作りのレシピも登場している。

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2000年代に入ると、たやすくインターネットに投稿できるブログが登場。そこからキャラ弁がブームとなる。キャラ弁とは、食材で動物や人物、アニメのキャラクターなどをデザインした弁当。海苔などを使って目や鼻をつける、型を使う、手の込んだ切り方で成型するなど創意工夫を施した写真がインターネット上に溢れた。

2005(平成17)年には、『おいしいお絵かきお弁当』(宮澤真理、白夜書房)、『キャラ弁ごっこ おもしろ弁当大集合!!』(メディアックス編、メディアックス)といった書籍も出て、ブームも盛り上がった。

キャラ弁は当時、「食べもので遊ぶなんて」「デザインに凝るより、栄養のバランスが大事」などと批判されたが、弁当のバリエーションとしてやがて定着する。

 

2015(平成27)年には、高校生の娘を育てるシングルマザーのブログをまとめた『今日も嫌がらせ弁当』(ttkk(Kaori)、三才ブックス)が出版されてベストセラーとなり、新聞にも取り上げられた。

ソーセージやおにぎりでつくった「オヤジ」キャラクター、厚焼き玉子やかまぼこで作ったハートマーク、スライスチーズに海苔で書いた「早起きしろ!!」などのメッセージを入れた弁当。掲載されたブログの文章から、反抗期で話がしづらくなった娘と母のリアルな関係性がうかがえる。

娘はほとんど反応を返さなかったが、弁当をきちんと食べて高校を無事に卒業。3年間、工夫を凝らしてメッセージを送り続けた母親の奮闘に、共感や感動をする人が多かったことが、ヒットにつながったと考えられる。

弁当の写真を公開するのは、ブロガーだけではない。

2000年代はNHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX』が大ヒットし、ふつうの人の奮闘にドラマがある、という視点がメディアに表れた時代だったからだ。

自ら弁当を公開する人もいれば、取材されて公開する人もいる。そんなささやかな日常に光が当たるようになった。