令和からはじまる「住宅購入の新常識」、教えます

これからの「住まい方のセオリー」を話そう

自動車は趣味や家族構成で選ぶのが当たり前。洋服も世間のトレンドより個性重視の人が増えている。ところが住宅選びはどうだろう。いまも従来の、家を買ったらそれでアガリという「住宅すごろく」的価値観から抜け出せない人が多いのではないか。

急速に進む高齢化、労働人口の減少と働き方改革……社会が劇的に変わるこれからの日本で、住宅の意味はどう変わり、私たちはどう住まうべきなのか。

不動産マーケティング・コンサルティングを本業とし、住宅資産管理サービス「家いくら?」(ieikura.com)を運営する「DGコミュニケーションズ」取締役の石鍋紀彦さんに「これからの住まい方のセオリー」を聞いた。

(提供:株式会社DGコミュニケーションズ)

(1)家族と、住宅の関係

2030年代の半ばには、東京都の半数以上が一人暮らし世帯になる……そんな予測があるのをご存じでしょうか。

どこか寂しい印象のあった一人暮らしも、それが「多数派」になれば、決してそうは思われなくなるでしょうし、一方で、普通に家族を持っている人が憧れの存在になるかもしれません。

こうした世帯構成の変化は、住宅を取り巻く環境にも大きく影響することになるでしょう。従来は、個人がいて、個人が集まって家族が作られ、家族を囲むものとして住宅がある、そして住宅の集合体として地域が存在していました。

しかし、一人暮らしが大多数になるということは、個人の先にダイレクトに家がきて、その外側に地域がある――そんな時代になるのです。

家庭という個人の集合体をひとつの単位として考えてきたこれまでの住宅のあり方そのものが、過去のものになる、ということです。

では、これからの時代、住宅に求められる機能や要素はどう変わっていくのでしょうか。それを考えるために、現在の住宅について整理してみましょう。

(2)住宅資産/バランスシートの考え方

現在、家が果たす機能は大きく三つあります。

第一は「家族がいる場所」。

二番目は「拠点としての機能」。会社や学校に出かけて、帰ってくる場所という意味です。

そして三番目は「資産」としての機能です。

このうち最も重視されてきたのが「家族のいる場所」としての側面でしょう。

子供部屋が必要か、どんな間取りが落ち着くかなどは、家を選ぶ際、だれも最初に考えることです。日本では、各自のプライベートルームではなく、家族が日常的に集まってくつろげる場所としてのLDKを中心に間取りを考える「LDK信仰」が強かったのも、家族が快適に暮らすためという観点に起因していると言えます。

2番目の「拠点」も近年急速に意識されるようになってきました。会社に行く通勤の拠点という機能に加えて、最近は物流の拠点としての機能が加わったからです。近年はECの利用頻度が増したことで、様々な物が自宅に届くようになっています。

最後の「資産」としての側面は、住宅をBS(バランスシート=企業の資産、負債状況を表す財務諸表)で捉える考え方と言い得てもいいでしょう。住宅の価値が資産、住宅ローンが負債で、両者がどのような比率になるかによって住宅の価値を評価しようというものです。

<家計のバランスシートの例>

この資産の「住宅」という部分が、経年劣化による下落と、不動産相場の変動により推移していきます。

一方、住宅ローンは金利を除いた元本返済分だけ負債が減っていきます。

つまり、資産の「住宅」の部分の下落率が、それに対応する負債の「住宅ローン」の縮小率より少なければ、純資産は増えていくことになります。