2019.04.06
# 地方創生

スモールビジネスで大逆転! 地方経済が復活するただ1つの方法

「地方創生ファンド」が日本を救う日
松本 直人 プロフィール

地方企業に成長資金を行き渡らせる

お金は血液に例えられ、金融緩和でお金は増えましたが地方に行き渡っていません。血液が体の隅々にまで行き渡らないと、新しい細胞が造られず、端から腐っていきます。

地方創生ファンドには、地方で新たに生まれる企業に成長資金を行き渡らせる効果があります。地方創生ファンドが企業に出資をすることにより、地元企業が活性化すれば、雇用が安定します。雇用の安定は生活の安定につながり、人口減少に歯止めをかけるきっかけになるでしょう。

そのために、私たちは地域の金融機関と協力し、福島、秋田、大阪、京都など全国で約20ファンドの地方創生ファンドを立ち上げています。これまでに投資してきた会社数は129社、総投資金額は14億500万円(2018年9月末現在)になります。

投資先企業の株式上場を狙って投資するタイプのベンチャーキャピタルは、企業に成長資金を供給するという意味では経済の活性化に有効ですが、上場までたどり着ける会社は「10社中1社程度」と考えており、上場できた1社から得られる上場利益によって、他の会社への投資で被った損失を全額回収するという前提です。

 

従来のベンチャーキャピタルでは、上場によって投資先企業の株価が大きく上昇すれば、そこで売却して利益を確定させ、エグジット(EXIT)になります。株式市場が好調な時にエグジットすれば利益は大きく、市況が悪くなると損失が膨らみ、企業への資金供給が止まります。また、上場する会社の大半は東京の会社であり、東京一極集中を打開する方法にはなりません。

しかし私たちが組成している地方創生ファンドは、地元のスモールビジネスを中心にして、そこに資金を提供するのが目的ですから、一般的なベンチャーキャピタルのように、株式上場で多額の売却益を確保するという形のエグジットは考えていません。

私たちが地方創生ファンドを通じてサポートするのは、スモールビジネス系が中心です。登山にたとえるなら、エベレストのような8000メートル級の山ではなく、1200メートル級の、それでもまだあまり登山ルートが開拓されていないような山を目指す会社です。

投資先の大半は、大手企業が提供できないサービス、地元の人たちが困っていることを解決するようなサービスを提供している、社長を含め社員2、3名の会社です。そして、地方創生ファンドがスタートしてから、現時点でデフォルトした会社は1社もありません。地方のスモールビジネスといえども、他社にない魅力的な事業で、資金があれば必ず発展していくのです。

photo by iStock

なんといっても地域金融機関の協力が不可欠

地方創生ファンド運営の流れと仕組みについては、拙著『地域金融復権のカギ「地方創生ファンド」』をご一読いただければと思いますが、地方経済活性化のカギは、地域金融機関の変革と協力にあります。しかし、これまでの地域金融機関は、バブル崩壊後に登場した「金融検査マニュアル」が壁となり、新規性のあるビジネスへの資金供給が困難な状態に陥っていました。

「金融検査マニュアル」とは、金融庁が金融機関を検査する際に用いるマニュアルのこと。金融庁の検査官が定期的に金融機関を回り、このマニュアルに沿って、健全な経営が行われているかどうかをチェックします。金融機関は、金融庁検査で何も問題が生じないように、自分たちが融資をしている企業に対し「自己査定」を行います。

この画一的な「自己査定」により、有望と思えたとしても、決算書も業績もない立ち上がったばかりのベンチャー企業はリスクが高いと判断され、その結果、極力融資しないという流れができあがってしまいました。つまり、約20年続いた金融検査マニュアルによって、金融機関は最も必要な能力である事業を評価する「審査能力」を失いかけているといっても過言ではありません。

ところが、その金融庁によって金融検査マニュアルが2019年3月に廃止となりました。

金融庁は金融機関に対して「事業性評価融資」という融資姿勢を求めています。事業性評価融資とは、決算書の中身や担保の有無で融資の可否を判断するのではなく、事業の中身、成長の可能性なども加味したうえで行う融資のことです。まさに地域金融機関にとって書類の審査だけでではなく、事業評価の「目利き」の人材を育てなければいけないという変革の時が来たのです。

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