「彼氏がいそう」といわれるのに彼氏ができない

大学は、東京藝大に入りたくて3浪しました。美大ってピラミッドがはっきりしていて、藝大が1番。とにかく1番ですごい人になりたかったんですね。

結局3浪しても藝大には入れず、武蔵野美術大学に入りました。今思うと私の中での評価基準は、とにかく「世間様」なんですね。「自分が周りからどう見られているか」「絶対1番になりたい」という思いがとても強かったんです。

私が思う「いい人」というのは、誰かから見て「優等生で従順ないい子ちゃん」のこと。高校以降は周りの雰囲気を壊さないよう、とにかく空気を読むようになりました。「人生のレールから外れたくない」という気持ちがすごく強かったんです。

そのせいか、大学に入ると今度は彼氏ができなくて悩みました。「周りはみんな自然と彼氏ができるのに、自分はなかなかできない」という違いでどんどん不安になっていったんです。

人生のレールから外れるのが怖かった

はる坊さんにお会いして感じたのは、「おしゃれできれいな人だな」というのが第一印象。『わたし、いい人やめました』で描かれている本人とは、見た目も髪型も体型もまったく異なる。「彼氏ができない」どころか、「次から次へと途切れずにいそう」と思ったくらいだ。

うーん、確かに昔から見た目を褒めてもらえたり、彼氏がいそうと言われることは多かったんです。それなのに、ずーっと彼氏がいないのがコンプレックスでした。ほしいのに、全然できない。大学生活自体はとても楽しかったんですけど、彼氏ができないという悩みに加え、就職も「新卒で就職しないと人生のレールからはずれる」という意識がとても強かったです。

恋愛、仕事は悩む度に、レールではなく自分なりに考えたりやり方を変えるきっかけになりました。しかし、人間関係については高校の時から基準や考え方を大きく見直してなかったんです。この歳になって人間関係を改めて見直す必要が出てきて、この「わたし、いい人やめました」を描きました。

ちなみに、新卒で入社した会社で今もずっと働いています。定時で帰れるので、帰宅後や休日に漫画を描く生活ですね。『わたし、いい人やめました。』は実体験をもとにしたフィクションで、読んで誰かに迷惑がかからないように、いろいろな要素や私の実話をMIXして描いています。会社の人も私が漫画を描いていることを知っていますし。

今のところ、会社員を辞めるつもりはありません。ずっと一人で家にいるのがダメなタイプなので会社勤めをしていることで、精神的に追い詰められることもなく、漫画のネタも思いつきやすいということもありますね。

漫画か会社員かどちらかに絞らないとダメなのではと、また一般論を気にして悩んだ時期もありましたが、自分なりに考えた結果、そう落ち着きました。