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コカインと売春と経済発展と…日本人が知らないコロンビアの素顔

コロンビアから世界を見る②

友人の友人が射殺された日

「メデジン市の××ストリートのファーストフード店で殺し屋が発砲。一般人が巻き添えになり死亡」

私はその事件に衝撃を受けた。そのファーストフード店は、私の家のすぐ近くで、中流層が住む閑静な住宅街にある。私もよく前を通る場所だ。そして、巻き添いに遭った一般人は、私の友人の友人だった。

共通の知人が多かったため、私のSNSのフィード上には、事件に関するいろんな情報が流れてきた。私はそれらの情報を追いながら、劇的に治安が改善しているとされているコロンビアに、依然として存在している“暴力”を実感させられたのだ。

 

しかし、だからといって「コロンビアは危険な国」というレッテル張りだけは避けなければならない。単純なレッテルこそが、この国の本当の姿を見えづらくしてしまうからだ。

実際、私が住んでいるコロンビアのメデジンという街は、かつては世界最大の麻薬組織の拠点があった街だ。だが、今、市街はとても綺麗で、暮らしやすい。世界各地を旅してきた私の目に映るこの国は、“前途有望な国”だと思う。

コロンビア第二の都市、メデジンの夕景。高原にあり、年中春のような過ごしやすい気候だ。

日本に住んでいる人には、中南米のイメージは掴みづらいと思う。そこで本記事ではコロンビア在住者の視点から、コロンビアの光と闇の両側面に、迫ろうと思う。

巨大麻薬カルテルが消滅し治安は改善

コロンビアの歴史に大きな影を落とした麻薬王パブロ・エスコバルについて、コカインを世界に蔓延させた「麻薬王パブロ・エスコバル」の正体で書いた。彼の人生を描いたNetflixの人気ドラマ「ナルコス」(私のレビューはこちら)は爆発的なヒット作となった。

「ナルコ」とは麻薬の意。「ナルコス」とは麻薬ビジネスで生きる奴らを指す。ただし、ナルコスの世界的人気はコロンビア人にとって歓迎されるものではなかった。

私はコロンビア人の友人にナルコス人気をどう思っているのか聞いた。すると彼は「コロンビア人がまるで暴力的かのようなイメージが世界中に広まってしまった」と悲しげに答えた。

私としても「ナルコス」によってコロンビアのネガティブなイメージが定着してしまった点は、残念で仕方ない。

スペイン、マドリッドにある映画ナルコスの巨大広告。コロンビアは広告の削除を求めている。

全米にコカインを蔓延させた麻薬王パブロ・エスコバルが1993年に殺害されたのを契機に、巨大麻薬組織メデジン・カルテルは崩壊した。敵対していた麻薬組織カリ・カルテルもほどなく衰退。それからはや四半世紀が経った。

以降、コロンビアの治安は改善し続けている。それは殺人率の低下を見ると明らかだ。

メデジン・カルテルの拠点であったメデジン市の殺人件数は、敵対するカリ・カルテル、コロンビア政府警察、アメリカ諜報部隊CIA、自警団ロス・ペペスによる紛争状態にあった1991年は10万人中266人であったが、2018年は10万人中24人と、10分の1になっている。

2016年の殺人件数はコロンビア全体でも10万人中25.5人で、この数字はブラジル(29.5人)よりも低い。ちなみにアメリカは5.4人、日本は0.3人だ。日本の治安は本当に凄い。(世界の殺人発生率・国別ランキング グローバルノート参照)