時代が変わっても「色を失わない」優れた古典の本10選

作家の水村美苗が選んだ
水村 美苗

水村美苗さんのベスト10冊

第1位『細雪』(上・中・下)
谷崎潤一郎著 新潮文庫 550~710円
大阪の旧家の四姉妹を描いた長編小説。「濃厚な性愛を描いてきた谷崎が『見合い』を主軸にしたところが興味深い」

第2位『三四郎
夏目漱石著 新潮文庫 340円
熊本から上京して東京の大学に通い始めた三四郎は都会的な女性、里見美禰子と知り合い、青春の世界へと誘われる

第3位『小公女
フランシス・ホジソン・バーネット著 脇明子訳 岩波少年文庫 840円
父の破産と死という悲劇にも負けず、懸命に生きる少女のシンデレラ物語。国と時代を超えて読み継がれている名作

第4位『高慢と偏見』(上・下)
ジェーン・オースティン著 富田彬訳 岩波文庫 900円・780円
「この作品は何度も映画化されていますが、小説の完成度が高いため、満足できません」

第5位『流れる
幸田文著 新潮文庫 550円
「芸者の置屋の匂いが漂ってくるような小説です。女の人の書き分けが面白かった」

第6位『ジェーン・エア』(上・下)
シャーロット・ブロンテ著 大久保康雄訳 新潮文庫 各710円
階級社会の中で、自立を尊び自由恋愛で幸せを勝ち取る新しい女性像を打ち出した小説

第7位「たけくらべ」(『にごりえ・たけくらべ』に収録)
樋口一葉著 岩波文庫 420円
吉原遊郭界隈に住む思春期間近の子供たちの世界を雅俗折衷体で描いた短編小説

第8位『銀の匙
中勘助著 岩波文庫 600円
「幼少期を描いた自伝小説ですが、読む者を自分の子供時代に引き戻してくれます」

第9位『忘れられた日本人
宮本常一著 岩波文庫 800円
「昔の日本人の価値観を思い出させてくれる民俗学の名著。忘れられてはならない一冊」

第10位『ガラスの動物園
テネシー・ウィリアムズ著 小田島雄志訳 新潮文庫 490円
不況時代のセント・ルイスを舞台に、母、娘、息子の精神の葛藤を描いた戯曲

『週刊現代』2019年4月6日号より

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