「LGBTは生産性がない」は生物学的にも間違っていることを示そう

それは研究によって否定されている
竹内 久美子 プロフィール

つまりこうして男性同性愛者は子を残しにくいとしても、母方の女が頑張ってよく子を産んでくれるため、その分を補っている(無論、これも生物学的な意味で「補っている」という言葉遣いをしている)。もちろん男性同性愛に関わる遺伝子も、本人に代わって残してくれている次第なのだ。

現在進行形としては、本人の姉妹や母方の従姉妹などが子をよく産みつつあるということになるだろう。

染色体Xの重要な役割

これが男性同性愛という、一見したところ生物学的に不可思議な現象の本質なのである。そして父方ではなく、母方に男性異性愛者との違いがあるということからわかるのは、男性同性愛に関わる遺伝子の最も重要なものは、性染色体のXに存在していると推定される。どういうことか。

男の性染色体はXY、女の性染色体はXXである。男は男しか持たない性染色体Yを父親から受け継ぐため、Xについては必ず母親由来のものを受け継ぐからだ。

女性同性愛についてはまだあまり研究されていないが、男性同性愛を裏返したかのような内容になるのではないだろうか。つまり父方の男がよく子をなしている……。

 

こうして見ると、生物学的生産性はLにもGにもBにも存在する。しかも杉田氏などが問題にする、子育て支援などのための税金は彼らの血縁者の大いなる繁殖に対し、投入される。科学的な事実から政治的な判断を引き出すことには慎重にならなくてはならないが、あえて杉田氏の物言いに正面から対峙するなら、LGBの人々に税金が投入されたとしても、不公平はない、と言えるかもしれない。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットにより、フレディ・マーキュリーについて人々の関心が高まってきた。特にバイセクシャルであり、ゲイでもある彼の性的指向に注目が集まっている。

3月刊の拙著、『フレディ・マーキュリーの恋 ――性と心のパラドックス』(文春新書)は、そういう事情を受けての男性同性愛についての書である。実はかつて『同性愛の謎 ――なぜクラスに一人いるのか』を文春新書から刊行したのだが、今回はフレディ・マーキュリーにスポットを当て、同書を大幅に増補し、改訂版として出版することとなった。

中でも不朽の名曲「ボヘミアン・ラプソディ」で、なぜ彼が「ママ」と何度も呼びかけ、母へメッセージを届けるのか。その隠された意味がわかってくるはずである。