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小学4年生が通説を覆す発見か!?「蟻地獄のふしぎな生態」

3年間糞をしないと言われていたが…

ウスバカゲロウの幼虫

初夏から秋にかけて、セミやトンボと同じように見かける機会が増えるのがウスバカゲロウだ。

「カゲロウ」の名を持ちながらカゲロウ目には属さず、17種類が日本で確認されている。このうち、5種類のウスバカゲロウの幼虫は「アリジゴク」として知られる。

縁の下や大木の根本あたりにすり鉢状の巣を作り、そこに暮らしながら、主食の蟻が落ちてくるのを待つ。ひとたび蟻が落ち込むと、戻ってくることはできない。

蟻が巣のなかで落ちまいともがくと、砂が巣のなかにこぼれ落ちる。アリジゴクの背中に生えた毛がそれを察知し、2本の大あごで食らいつき、体液を吸い取る。食べ終わった死骸は、巣から吐き出してしまう。

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アリジゴクは3年間の幼虫期間を経て、初夏にまゆを作ってさなぎになる。このあいだ、常にアリジゴクは地下にいる。そして盛夏を迎えると、成虫になり、地表に出てはじめて草をよじ登る。

羽化から時間が経ち、身体がしっかりできてくると、ウスバカゲロウははじめて糞をする。アリジゴクは、肛門にあたる部分がほとんど閉じているために、一切糞をしていなかったのだ。昆虫でこれだけ長期的に用を足さずに生きられるのは、珍しい例といえる。

 

では、アリジゴクは生まれてから3年間、まったく排泄行為を行わないのか? 最近まで学者のなかでもそう考えられてきたが、2010年にその通説を思わぬ人物がひっくり返した。当時小学4年生だった、千葉県在住の少年である。

自由研究で観察をしていたこの男の子は、アリジゴクのアップの写真を撮ろうと白い紙の上に置いたとき、黄色い液体を出したのに気づいた。

アリジゴクは蟻の体液を吸って生きているのだから、この液体はおそらく蟻のものだろう。彼はそこで考えた。「もし尿をしないのであれば、身体が破裂してしまう」と。

彼の素朴な疑問は学会でも取り上げられ、アリジゴクは研究者の再注目を浴びた。歴史を覆す発見は意外なところからやってくるものだ。(嶋)

『週刊現代』2019年4月6日号より