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親戚に自分の財産を奪われないために、生きてる間にやるべきこと

遺言書を書くのは必須。それだけでなく

「最期の総力戦」の最たる盲点が、今回のテーマだ。自分が死んだ後、誰が手続きをするのか、本当に知っているだろうか?妻や子供だけではない。想像もしたことがない親戚にも、その権利は発生してしまう。

20年ぶりに会った甥がカネを要求

あなたは自分の親戚をどこまで把握しているだろうか。死後の手続きで大きくかかわってくるのは、妻や子だけではない。

兄弟姉妹はもちろんのこと、義父義母甥っ子姪っ子いとこばかりか、状況によっては最大で6親等のはとこまで関与することになるのだ。

 

都内在住の井川孝之氏(66歳・仮名)は、この3月、父の死後手続きを終えた。父には実家の土地・建物くらいしかめぼしい財産はなかったが、厄介だったのが、遺産分割である。井川氏が言う。

「私は実家で父の面倒を見ていましたし、そのままここに住み続けるつもりだったんです。ところが、20年も会っていなかった福岡在住の甥が、突然『俺にも権利があるので、遺産を分けてほしい』と言ってきましてね。

この家しか遺産などありませんし、そもそも甥っ子に何らかの権利があるなんて知りませんでしたから、面食らいましたよ」

この甥は、最終的に弁護士まで使って、井川氏に遺産を分割するよう要求してきたという。

「父も年金生活でしたし、ほとんど預貯金もありませんでした。そう伝えたのですが、甥は『嘘をついているかもしれない。預金通帳を見せろ』などとすごい剣幕で、びっくりしました」(井川氏)

井川氏に母はすでになく、二人兄弟の弟も亡くなっている。ところが、この弟に息子(井川氏の甥)がいたのだ。

たしかにこの甥は、弟の代襲相続人として、井川氏の父の遺産を2分の1相続する権利があった。最終的に、井川氏は実家を相続する代わりに、代償金として、月5万円の支払いを甥に対して10年間続けることが決まった。

「家を売るわけにいかず、この手しかありませんでした。年金暮らしの身に月5万円という支払いは、相当な負担です」(同)

井川氏は予期せぬ相続人の出現にたまげた。みお綜合法律事務所の弁護士・澤田有紀氏が言う。

「付き合いが希薄な相続人同士であれば、権利を主張することにほとんどためらいがない場合が多いのです。『厚かましい』と思われても、徹底的に主張する人がいます」

今回は、死後手続きのなかでも、最も面倒くさい「遺産分割」の現場から紹介していく。

相続人間で遺産分割協議を成立させられなければ、井川氏のように揉めるだけではない。銀行口座は凍結されたままだし、相続税の申告も行えない。つまりは何の手続きも先に進められない。一番怖いのが、親戚がゴネ出すことだ。

どんな状況であっても、あなたの死後、常に夫(配偶者)は相続人となる。そのうえで法定相続順位が決まっている。第1位(子)がいなければ第2位(両親)に、第2位が誰もいなければ第3位(兄弟姉妹)へと移行していく。

だが、相続人の範囲はこれだけではない。子の代わりにが相続人になれるし、あるいは両親の代わりに祖父母が、きょうだいの代わりに甥・姪が相続人となる代襲相続という制度があるため、想定していなかった相続人が現れる。

以下、4つのパターンの揉め方を、典型的な家族構成で説明していこう。